叶わない31 ページ39
牛沢 「そーか、Aはまだ未成年か」
『そうなんですー。まぁ、飲めてもうっしーさんみたいに沢山は飲みませんけどねー?』
牛沢 「何だとお前ー」
そんな親しげな会話に二人して笑うと、頼んでいたものが色々と運ばれて来る。
私はお茶を片手にうっしーさんと会話を続ける。
『あ、そうでした。…私、キヨ兄の家出ました』
私がさらっと告白するとうっしーさんは目を丸くしてビールを置いた。
牛沢 「は、マジ?何で」
『…ちょーっと色々あって…お世話になれなくなって』
牛沢 「ほぉ……喧嘩して出た訳じゃねぇならいいわ」
少し傷付いた顔を見せてしまったからか、よしよしと頭を撫でてくれるうっしーさん。
『…ありがとう、ございます』
牛沢 「おう」
何があったか聞いてこないところが凄く紳士で、そのうっしーさんの優しさに泣きそうになった。
牛沢 「ま、偶に顔出してやれよ?彼奴最近Aのおかげで生活リズム良かったけど、お前がいなくなったから戻ると思うし」
『あ、それは想像つくかも……うん、そうします』
うっしーさんは私の言葉にうんと返してからからと笑った。
牛沢 「そんじゃ、そろそろ帰るか」
『はーい』
お会計の時に私も財布を出したのだが、やはり出させてくれなくてお礼を言って店を出たのだった。
_______
牛沢 「駅まで送る」
『逆にうっしーさんのこと家まで送りますよ、お酒飲んでましたし心配』
牛沢 「二杯くらいしか飲んで無かったろ」
『二杯でも心配です。ふらふらして車に轢かれたらどうすんですかー』
牛沢 「お前、俺のこと馬鹿にしてんだろ?」
『そ、そんなこと全く』
牛沢 「嘘下手くそだな!」
『んふふっ、』
またもや自分達の会話に笑いを漏らすと、ふと、うっしーさんと結構仲が良くなっていることに気付く。
それに、あれ以来こんなに笑った事も無かったから、とても楽しい。
『うっしーさん、今日はほんとに色々とありがとうございました』
駅まで一緒に歩きながら話す。
牛沢 「いえいえ、お粗末さまで」
『最近塞ぎ込みがちだったんで久しぶりにこんなに笑いました』
牛沢 「そりゃ良かったよ」
そこで一旦会話が途切れる。
するとうっしーさんは携帯を取り出しロックを開ける。
そして私の方へ手を出して、ん、と言う。
牛沢 「携帯。…キヨの事でもいい。何かあったら連絡しろ」
携帯を渡す手がとても熱くなった。
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蘇澳(プロフ) - けろさん» コメントありがとうございます!とても励みになりました!お目に入れて頂き光栄です!これからも更新がんぱりますので宜しくお願いします^^ (2019年8月30日 16時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
けろ(プロフ) - 初めまして!毎回更新を楽しみにしています(^^)居候生活編も楽しみに待ってます笑小説書くのは大変だと思いますが応援しています! (2019年8月30日 12時) (レス) id: 2aaeade905 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年8月12日 23時