叶わない15 ページ19
キヨ 「そんじゃ、気ィつけて帰れよ？正月にまた行くから」
『うん、またね！ほんとにありがとう』
キヨ 「おう、この新幹線にずっと乗っとけば良いから。分かんねぇ時は駅員とかに聞けな」
そう言ってぽんぽんと頭を撫でてくれるキヨ兄。
うう…帰りたくない…もう少しだけ一緒に居たい…
『うん。ちゃんとご飯食べてね、引きこもってばっか居ないで偶には外出てね、シャワーだけじゃなくてお風呂にも浸かってね？』
キヨ 「お前は俺の母さんか！分かってるわ！」
二人で笑っていると、新幹線が到着したというアナウンスが入る。笑い声が止まる。
キヨ 「そんじゃな、ちゃんと勉強するんだぞ」
『キヨ兄してなかった癖に』
キヨ 「あ？なんか言ったか」
『ぶふっ……んーん、何も』
そして、キヨ兄がじゃあなと言うように頭を撫でる。
私も応えるようにキヨ兄へ微笑む。
そしてキヨ兄が私へ背中を向け歩いていく。
その背中を見て、言いたかったもうひとつの言葉を思い出す。
『キヨ兄！』
私の声に気付いて振り向いたキヨ兄。
『私、キヨ兄に少しでも近付きたくて始めたことがあるの！』
キヨ 「？」
『…私、歌い手してるの』
キヨ 「…………は、……マジ！？」
『じゃあねぇ！またねぇ〜！』
キヨ 「おい、A！」
少しだけ大きめの声で呼ぶ声に満面の笑顔で手を振って返すと、キヨ兄も呆れた顔で手を振って返してくれた。
私はそのまま新幹線に揺られて、北海道までの長い道のりを帰って行った。
__________
18歳の冬
「あー、もう卒業間近だね」
吐く息も白くなった今日この頃、私は教室で友人の倫音(ともね)と話していた。
倫音 「そう言えばA、東京行ったんでしょ？どーだった？」
『あー、うん兎に角色々と凄かった……夜でもギラギラだし、怖そうな人もいっぱいいたし……』
倫音 「へぇ〜、でも大好きなお兄さんと一緒だったんでしょ〜？」
大好きなお兄さん……
倫音は、私の好きな人を知っている。まぁ、有名だし……
『ちょっ…！倫音！』
倫音 「ほんと良いよね、あの人が親戚だなんて。私も一回でいいから生で見たい……」
『…ふふ、モード入ってないとテンション凄い低いよ』
倫音 「やっぱそうなの？いやぁ、凄いねAの周りは。あんたも歌い手してるし、なかなか売れてるし」
『いやいや、止めてよ〜』
キヨ兄の話してたら会いたくなっちゃうな、
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蘇澳(プロフ) - けろさん» コメントありがとうございます！とても励みになりました！お目に入れて頂き光栄です！これからも更新がんぱりますので宜しくお願いします^^ (2019年8月30日 16時) (
レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
けろ(プロフ) - 初めまして！毎回更新を楽しみにしています(^^)居候生活編も楽しみに待ってます笑小説書くのは大変だと思いますが応援しています！ (2019年8月30日 12時) (レス) id: 2aaeade905 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘇澳 | 作成日時：2019年8月12日 23時
