兄妹の絆 ページ12
「A、何時までそうしてンだ?買い物行くンだろ」
あの後、終いに姐さんまでもが現れ、その男は死に絶えた。
そして、一度家に帰ってきたところだった。
Aはソファの上で蹲ったまま、一向に動かない。
そンだけ怖かったって事だよな…。
俺は、ソファの上のAの顔を上げた。
「怖かったな、A」
片の手で頭を撫でる。
「兄………」
「ぐほっ!」
Aが、突進して来やがった!
「異能、見舞ってやれば良かったじゃねェか」
奴の異能は、人間を即死させることが出来る。
なぜ使わないのか気になった。
「殺気が出なかったの……それより恐怖の方が大きくて……」
そうか。
Aの異能は、殺気が出ねェと使えねェンだったな。
「まだ怖いか?」
「んーん……自分、不甲斐ないなって思って」
「不甲斐ねェ?」
「幹部補佐なのに……たかが雑魚相手に遅れをとった……」
バカか、此奴は。
「バカだなお前。お前は女だろ。手前より体格もでかくて力も強え奴相手に”怖い”って思わねェ方がおかしい」
奴の青い目を見つめる。
「お前は不甲斐なくなンてねェ。じゃなきゃ、俺の補佐なンて出来ねェだろ」
青い目から流れていた涙が止まる。
そして、くすりと笑った。
「そうだね、兄は問題児だからね」
その笑顔に、思考が止まった。
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作者名:蘇澳 | 作成日時:2018年4月7日 2時