ー57ー ページ7
罠にかかったとはいえ、そう易々と情報を口にしないところを見て、やはりボスかと納得する。
それでも結構吐いてくれた。
相手の組織のこととか、自分の組織がどういう状態にあるかとか、構成員をあまり上手く纏められていないこととか。
私は的外れなアドバイスをしながら、バカなりに真剣に聞いているという姿勢を見せ続けた。
それから眠そうにしている駿河をベッドに移して、どうにか寝かしつけて、そのまま出てきた。
構成員の方に手を伸ばして情報を掴むべきか、このまま駿河を誑かして上等な情報を掴むか…
仕事といえどもあまり男に接触したくない。
あの人以外の手に触れたい訳ないじゃない。ああ、零さんに会いたいな。
___________
久しい休み。ウィッグ付けるのも面倒で、金髪のまま買い物に出かけた。
買い物前においしいコーヒーでも飲みたいなと思って、とある喫茶店まで来る。ここはいつしか零さんと受験勉強をした場所。
零さんに迷惑は掛けられないと、居ない時間を狙ったはずなんだけど。
「いらっしゃいませ、お好きなお席にどうぞ」
人好きする笑みを浮かべて、ふわふわする雰囲気をばら撒く男性。
やっば。あれ、零さん今日出勤じゃなかったっけ。
忙しそうにして、私の方を見ずに席を薦めている内に帰ろうか。
考えに考えて、くるりと背を向けた瞬間、
「お帰りですか?」
少し声を鎮めてそう言う彼。こりゃやっぱ女性がほっとかないわ。
『あ、ええと、忙しそうなので…』
振り返らずにぺこりと頭を下げながら言う。零さんだって、部下にその姿見られたくないよね。
「いえ、お昼時も過ぎてますからそこまででもないですよ?席も空いてますし、どうですか?」
うぅ…接客が上手い…。これ断るとか、無理無理。
でも、零さんに迷惑かけるのは…
…ちょっと待って、今私、金髪だよね。
ワンチャンバレないのでは??金髪にしてから少し化粧も変えてるし…バレないバレない!
『では、お言葉に甘えて…』
そう言って振り返った。その時、微かに見開かれる零さんの目。
あ、やべ、やっぱり駄目だこれ。
カウンターから一番離れた隅の席に座る。
カウンター席は、近くで彼を見れるから人気なのか、テーブル席に座っている人は余りいない。
そわそわしながら外を眺めていると、近くに人の気配、かたと音がしてテーブルにコーヒーが置かれる。
「お待たせしました」
178人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉子(プロフ) - 一気読みさせていただきました!!!面白すぎて禿げそうです…更新楽しみに待ってます!! (2022年4月2日 15時) (レス) @page9 id: e12f476466 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - とうとう降谷さんにバレちゃった?(゜ロ゜)主人公ちゃんもだけど無理やり任務をさせてる西条さんの方がめっちゃ怒られるでしょうね、早めに言っちゃうけど西条さん自業自得だけど御愁傷様です(^∀^;) (2021年11月10日 19時) (レス) @page9 id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - うわぁ、無理やり自分に回ってきた潜入捜査の仕事を押し付けておいてこんな態度?(°Д°)降谷さんに知らせずに主人公ちゃんに自分の仕事を無理やり押し付けてるのを降谷さんが知ったら西条さんに何やってるんだって大激怒でしょうね(笑)(´▽`;)ゞ (2021年10月15日 2時) (レス) @page6 id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
ウミ(プロフ) - 楽しみにしてます。 (2021年7月18日 9時) (レス) id: a500a044fa (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - 名家の出のお嬢様でも降谷さんは容赦ないでしょうね、大好きな婚約者の降谷さんからどんな仕打ちをされるか楽しみです(笑)(-∀-)更新楽しみにしてますね(*≧∀≦*) (2021年2月16日 0時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蘇澳 | 作成日時:2021年2月4日 22時