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これに触れるのも何年ぶりだろう、指ちゃんと動くかな。
ばさりと背中まで伸びた髪を腕で払い、鍵盤に指を這わせた。
さあ、私を見て。
音を奏で始めると、私はその場にいた人たちの視線を一身に受けた。
_______
潜入にあたって、私は色々と努力をした。
まず髪を伸ばし美容院に行って緩くパーマを掛け、金髪にした。後はダイエット。体作り。
女磨きって、こんなに大変でストレス溜まるとは…皆様お疲れ様です…尊敬しちゃう。
後は家のお金でパーティドレスを結構作ってもらった。露出高めのから少な目なのまで色々と。
仕事では零さん達に余計な心配は掛けまいと黒髪のウィッグを買って、それを付けてる。
私の黒髪じゃ地味すぎて目立てないからこうするしかない。
そして、私が一番最初に行動したのは組織との関わりのある店なんかを見つけること。これはささっと解決。とあるバーを拠点替わりにしていた。
そういう経緯があり、今バーでバイトをしている。
______
演奏が終わると大きな拍手が贈られ、また品定めするかのような視線を向けられる。
ピアノの側に立って一礼すれば、数人の男が近づいてくる。
「シャルロット、このあと二人で、どう?」
「一杯付き合ってよ」
五日経って、これにはもう慣れた。シャルロットは私の偽名。
薄く笑みを貼り付けて微笑んでいると、その男たちの後ろから一際目立つ男がこちらへ向かってきた。
「やぁロッティ、今宵も素晴らしかったよ」
『駿河さん、今日もいらしてたの?…ふふ、嬉しい』
男の名は駿河。それしか名乗らなかった。
彼は私の初日に店にいた人間で、私の演奏に多額のチップをくれた男だ。
背は高くすらっとしていて、知的な眼鏡をかけている。見れば接客の女の子なんかはときめいていたっけ。
「今日は僕に付き合ってくれるね?」
『えぇもちろん』
この数分後、私は、彼が追い求めていた人物だった事を知る。
______
「流石ね、運が良いのかしら。付いたお客が真逆組織のボスだとは」
報告すれば、上出来よなんて彼女は言った。
瞬間、不意に髪を捕まれ引っ張られる。
そのままどんと壁に押し付けられぱちりとウィッグが取れた。
「ふぅん、こんな髪で潜ってるのね」
『…何か関係が?』
「いいえ、少しカンに触っただけ。零くんと__私の彼と同じ色だから」
嫌気がさす。彼女の口から零さんの名前が出る事が。
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莉子(プロフ) - 一気読みさせていただきました!!!面白すぎて禿げそうです…更新楽しみに待ってます!! (2022年4月2日 15時) (レス) @page9 id: e12f476466 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - とうとう降谷さんにバレちゃった?(゜ロ゜)主人公ちゃんもだけど無理やり任務をさせてる西条さんの方がめっちゃ怒られるでしょうね、早めに言っちゃうけど西条さん自業自得だけど御愁傷様です(^∀^;) (2021年11月10日 19時) (レス) @page9 id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - うわぁ、無理やり自分に回ってきた潜入捜査の仕事を押し付けておいてこんな態度?(°Д°)降谷さんに知らせずに主人公ちゃんに自分の仕事を無理やり押し付けてるのを降谷さんが知ったら西条さんに何やってるんだって大激怒でしょうね(笑)(´▽`;)ゞ (2021年10月15日 2時) (レス) @page6 id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
ウミ(プロフ) - 楽しみにしてます。 (2021年7月18日 9時) (レス) id: a500a044fa (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - 名家の出のお嬢様でも降谷さんは容赦ないでしょうね、大好きな婚約者の降谷さんからどんな仕打ちをされるか楽しみです(笑)(-∀-)更新楽しみにしてますね(*≧∀≦*) (2021年2月16日 0時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘇澳 | 作成日時:2021年2月4日 22時