ベテルギウスの泣く頃に。 (ページ48)

今日:11 hit、昨日:9 hit、合計:28,189 hit

･ページ48

Aside

私の訴えの後、直ぐに声を上げたのは稲森先輩だった。

「監督！一星を救う方法はないんですか？」

「あります！一星くんは、人格統合を経て初めて本来の一星くんに戻ることができます！」

「怖い………兄ちゃん、A……………光………」

人格統合……………失敗すればどちらの人格も失われ、成功してもどちらかの人格は死ぬ。

けど、今の彼を救うにはそれ以外に道はない。

「よし、やろう！」

「円堂さん？」

「本気かよ………」

「一星の面倒見ながら試合するってのかよぉ」

口々に不満の声を漏らすチームメイトに、円堂さんはニカッと笑う。

「心配するな、ゴールは俺が守る」

「………やろう、やろうよみんな！」

続けて稲森先輩もみんなに向けて言うと、チームはついにやる気になった。

一星のサポートをしながら戦うのは容易では無い、渋る気持ちも十分過ぎるほど分かるというものだ。

それでも、彼らは一星を救うためにやってくれるのだと言う。

「…………監督、後半戦も出させてください」

「え、でも、怪我が…………」

「大丈夫です！」

「ふむ…………分かりました、今日だけ、特別ですよ」

「ありがとうございます………………！」

絶対に、今日、ここで、一星を、救う。