ベテルギウスの泣く頃に。 (ページ30)

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Aside

朝食をとった後、一星の姿が見当たらない事に気付いて探しに行った。

また何か企んでいるのだとしたら知る義務がある。

廊下を急ぎ足で歩いていると、誰かに手首を掴まれた。

そのまま壁に押し付けられ、身動きが取れなくなる。

「…ぁ」

「お前、鬼道さんに何をした？」

西蔭さんは、いつになく恐ろしい顔で私に詰め寄る。壁に押し付けられた右手首が痛い。

「私は何も」

そう、何もしなかったから。

ギリギリと手首を掴まれる力が強くなって顔を顰め、思わず声を出した。

「いたっ………痛い…………」

「何もだと？」

「本当に何もしてないです！あれは一星がやった事じゃないですか！」

痛みに耐え兼ねて、大きな声で言うと西蔭さんは目を細める。

「あの場にいなかったのによく知ってるな」

「…………タツヤに聞いたんです、痛いです、はなしてください」

西蔭さんは暫く私を睨み付けてから、乱暴に手を離すと何処かに行ってしまった。

壁に寄りかかりながらズルズルと崩れ落ち、右手首を見る。ジンジンと痛み、赤みを帯びている。

「………………めっちゃ痛い。」