選出 ページ3
Noside
「さあ、今趙金雲監督によって代表メンバーが発表されようとしています！」
という実況の後、スタジアムの普段は得点が表示されるスクリーンに音楽とともに映像が流れ始める。
フォワード、豪炎寺修也、灰崎凌兵、吉良ヒロト、剛陣鉄之助。
ミッドフィールダー、稲森明日人、鬼道有人、氷浦貴利名、基山タツヤ、不動明王、野坂悠馬、一星充、そして。
「柊A！」
瞬間、Aは弾けたように伏せていた顔をを上げた。
フットボールフロンティア初戦しか出ていない自分が選ばれた事に喜びと、他の頑張ってきた選手へのちょっとした罪悪感。
ディフェンダー、風丸一郎太、万作雄一郎、吹雪士郎、坂野上昇、岩戸高志。
ゴールキーパー、西蔭政也、砂木沼治。
キャプテン円堂守。
「一星充………充、ね」
代表の発表が終わると、会場は先ほどにも増した盛り上がりを見せていた。
候補メンバーも喜ぶもの、ほっとしているもの、ガッカリするものなどリアクションは多種多様だ。
「いた、柊」
と背後から肩を叩かれたAは振り向く。
「………キャプテン」
永世の貴公子基山タツヤが困ったように笑っていた。
「来てたなら連絡くれれば良かったのに。同じチームなんだから」
「あはは………」
永世学園のサッカー部は、お日さま園という孤児院のメンバーで構成されている。
そしてAは、お日さま園のものでは無かった。
外部から入ってきたただ一人ということと、入部してたった二週間で試合に出たということ、それにその試合で大怪我してずっと入院していたということが重なりあまりチームに馴染めていないのだ。
だから基山も気にかけてくれているし、Aもどこかよそよそしい態度なのである。
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作者名：くつる | 作成日時：2020年3月15日 3時
