夜中 ページ17
Aside
夜中、自室で私は一人デスクトップを見ていた。
「厄介な相手だなあ………」
次の対戦相手となる、オーストラリア代表の情報を見ていた。
とある情報筋から貰ったものだから確かな情報だ。
催眠術の一種であるヒプノシスというものを行使する上に実力も充分ある。
砂糖とミルクをたっぷり入れたコーヒーを啜り、対策を練る。
対策を練ると言っても、仲間に情報を流し過ぎれば逆に疑われてしまう。
何せオーストラリアは今情報規制を敷いている、その情報は何処から？ってもんだ。
誰かが試合中にヒプノシスに気づいて策を練ってくれるといいのだけれど。
オーストラリアは韓国と違い、そんな荒々しいプレイはしないはず。
それならいくらでもやりようは
「柊A」
「ひぁっ」
突然、背後から名前を呼ばれて飛び上がった。
見れば、そこには青き一等星一星充の姿が。
「いつのまに………ノックくらいしてよ」
「ドアの音で気付けよ」
特に悪びれた様子も無くドカッとベッドの上に座り込む。
突然ノックもせず部屋に入ってきたくせに大き過ぎる態度にムッとする。
「何の用？」
一星からデスクトップに視線を戻して尋ねる。
「次の試合、俺が出る」
「だから何？私に手を出すのは重大な裏切り行為に等しいよ」
この絶対的な盾がある限り、オリオンの使徒は私に手を出すことは出来ない。
「………お前、そろそろ見捨てられそうなんだよ」
「＿＿＿＿」
突然の発言に眉をひそめて今一度一星を振り返る。
「俺がお前の監視役ってワケ。ちくられたら困るだろ、まだ。だからさあ、俺の言うこと聞けるよな？」
「………何をさせようって言うの？」
私が話に乗ってきたのを見てか、一星は笑う。
「ちょっとしたストレス発散に付き合ってくれればいいだけさ。俺が呼んだら何をしていてもすぐに来い、いいな」
ドスの効いた声で念を押すと一星は私の肩を軽く叩いて部屋を出ていった。
一星に叩かれた肩をそっと撫で、時計に目をやる。
時刻は午前２時、もう寝なくては明日起きれない。
言い表せぬ不安を胸に、私は眠りについた。
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作者名：くつる | 作成日時：2020年3月15日 3時
