終戦 ページ16
Aside
色々な事が沢山起きた試合だったが、４対２の日本の勝利で韓国戦は終わった。
韓国が仲間割れを起こしたり、相性最悪と思われた灰崎くんと吉良先輩が連携技を見せたり。
「あ、灰崎、ヒロト。日本代表を引っ張るツートップ、イナズマゴッドアンドデビルだって」
iPadでニュース記事を見ていた稲森先輩が言うと、
「「まとめんじゃねぇ！」」
と二人揃って声を出した。
「息合ってますね」
「「合ってねぇ！」」
マネージャーの言葉に反論するのにも、しっかり息ぴったり。
まあなんだかんだこの二人がいれば豪炎寺さんの不在も凌げるかもしれないな。
きゅぽっとドリンクの蓋を開けた。
「だいたいそのストレートから気に食わねぇんだよ！」
「うるせえ！ちゅるちゅる頭！」
「ぶっ………失礼しました」
思いもよらぬ小学生未満な暴言に水を吹き出しそうになってしまった。
口の端をハンカチで拭いてると、二人の目がぎらりと光る。
「てめぇも灰崎以上のそのストレート気に食わねぇ！！！」
「ミッドフィールダーのくせに俺のゴール奪いやがって！！！」
と噛みつかれてしまう。
「えっ…………と」
私への言葉はそれで終わり、また二人は低レベルな言い争いを始める。
「気にしなくて大丈夫だよ、A」
「はい……………ん？」
振り返ると、基山キャプテンがニコニコ笑顔で「ん？」と言う。
「いや、え？」
「名前で呼んでみたくなって。嫌、かな？」
叱られた小動物のような表情に「そんな事は無いです」と咄嗟に返す。
「Aもタツヤって呼んでくれていいんだよ？」
「先輩ですから…………」
「いいんだよ？そんな堅苦しい敬語も外して、いいんだよ？」
ニコニコと、だがどこか怖ささえ感じられる気迫。
「…………タツヤ、先輩」
「なーに？少しずつ慣れていこうね」
いきなりどうしたと言うんだろうか…………ちょっと怖いし。
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作者名：くつる | 作成日時：2020年3月15日 3時
