俺の炎【妖怪ウォッチ】 (ページ6)

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六話ページ6

エンマside

結界を出た途端に胸にひどい痛みを感じた。どうやら結界のせいで感じられなかったらしいが、ユハタに相当な負荷がかかっているようだ。予想していた以上のことに言葉が一度途切れるが、深く呼吸をして痛みを和らげながら背筋を正す。
妖魔結界の中にカゲロウが入ったのを確認し、ケンテンは俺へと向き直る。

「では、人の姿へとおなり下さい。決して妖術を使おうなどと思わないでくださいませ。たとえ人間界といえど、名だたる妖怪はおりますゆえ」

「わかっている。だが、少しならいいだろ？」

「よもや…時の軸を弄ろうなどとお思いではありますまい」

「うぐ…」

呆れたようにため息をつくケンテンに、俺やぬらりはいつも敵わない。すぐに心を見透かされて叱られるのがオチだ。今だって時を変えてみようなんてこと考えてたら、このザマなのだから。

人の姿へと変化し、そっぽを向く。
またもや降りかかるは大きなため息の音。

「まぁ良いでしょう。許します。ただし！ユハタ様の体を思ってくださいね」

「ああ」

「では門を開きます。ご武運を」

ゆらりと立ち上った煙の中から現れたのは、厳格な雰囲気を纏う人ひとり分の門だった。これは人の世とこちら側を繋ぐもの、おおもり山のあのゲートと同じものである。
開ける者はそう多くないが、ケンテンならば簡単に開くことができる。ゆったりと一歩を踏み出して門を潜ればその先はやはり山の中、おおもり山のどこかであると予測をつけた。

周りに妖怪の気配はない。
いい場所を選んでくれた…いや、ここに居ると知っていたんだろう。

ユハタの妖力の気が僅かに感じられる。

とりあえず気配が強い方へと進んだ。かなりの距離はあったが、たどり着いたのは一つの祠で随分と寂れている。しかし人が寄り付かないならそれで十分だろう。

「！」

音がする。
金切声のようであり、鋼が競り合う音にも聞こえる。しかしどこか痛みを含んだ禍々しさをも感じさせた。

思わず駆け出し、滑る岩場を無視して奥へ奥へと進みゆく。僅かに灯らしきものを見つけ、変化を解いて躊躇するでもなく飛び出した。

足音に驚いたであろう妖怪たちがこちらを振り向く。やはり四人衆の面々であったかと安堵しながら、すぐに奥の濁った妖力の塊に視線を向けた。

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