俺の炎【妖怪ウォッチ】 (ページ5)

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五話ページ5

ケンテンside

時間とはどういう意味か、ワシが聞き返すと大王は今までのぬらりひょんの言動を話し始め、彼が先代のことを忘れられずにいると言い顔を伏せた。

ぬらりひょんにとってエンマ大王は己ではなく先代のまま、時が止まってしまっている。

側から見てもそれは一目瞭然のことで、誰もが口を揃えて言うだろう。

ぬらりひょんは先代の考えに固執しすぎている、と。

確かに彼は先代の影を常に探し続けている。諦め切れないのだろう、先代の優しさに惹かれて仕えたぬらりひょんにとって今のエンマ大王は孫であるが故に、彼に以前の王を重ねてしまう。
今回は我慢していた今までの思いが爆発した…と言うところか。

「ぬらりが言うこともわかるし、そうだよなって思う。けど、本当にそうなのかを俺自身の目で確かめたい」

「…ご自身が何を申されているのか、お分かりで」

「当たり前だ。ここにいてもユハタの迷惑に繋がるだけだし、何より俺はあいつに会いたい。そばにいてやりたい」

眼差しはいつしか真剣なものから慈愛に満ちたもので溢れていた。オオミカミヌシアマヒコさま…ユハタさまの事になると、エンマ大王はいつも彼女のことを優先なされる。
理由は、愛しているから…ただその一言。
何と幸せな妖怪であろうかとユハタさまは常に仰っておられた。
ワシは微笑み、一息置いてエンマ大王に向き直る。

「仕方がありませんね。ユハタ様のことをダシにされては、我らもとやかく言う事はできません」

「じゃあ！」

「ただし条件があります。ここに影武者を置く代わり、四人集をおそばにつけてユハタ様の思念体をお守りくださいませ。貴方様ご自身が寄り添われるならば体の負担も黒化も軽くなりましょう」

「約束する。エンマ大王の名において」

しかとその心行き受け止めたと言わんばかりに胸を張った彼は、このような状況でも変わらずに彼として在るらしい。僅かに笑みを湛えて、カゲローを呼び出して彼に姿を変えるよう言えば、すぐさま瓜二つの姿となる。
妖魔結界に穴を開けて入れ替われば、まずわからないだろう。妖力も細工をしてエンマ大王のものへと見せかけている、ただあのぬらりひょんがこのようなお遊び同然の仕掛けに気が付かないという確信もない。

さて、ここから先は彼奴の気まぐれにかけるほかないだろう。

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