四十九話 ページ49
云須side
『で、お話とは何でしょうか。甚壱兄上』
集会が解散となって約一時間ほど、結局暴れる始末となり全員を返り討ちにしてみせた俺たち。呆れるほど連中が弱く、智永らも頭を抱えていたが、まぁストレス発散にはなっただろ。
しかし、今俺は別のことで頭を抱えていた。
目の前に佇むは兄の甚壱で、場所はあの東屋…俺と兄さんの思い出の場。
それを知ってか知らずか、この男は会話の場として設け、呼び出した。
素直に話そう。甚壱とはほとんど交流がない。
理由は単純、術式の有無だ。
天与呪縛の代償として呪力をもたず生まれた俺たちは、大人のストレスの捌け口となったが甚壱は違う。
そこそこ実力もあり、術式も有していたため直哉と同等とはいかずとも…それなりに良い待遇を受けていたはずだ。俺たちとは正反対の人間、いわば完全に家側の人間のはずなのだが。
「脩蛇さま」
『下がっていろ。心配ない』
「…いまは、脩蛇というのか」
『ええ、云須の名は死人の名ですから』
「そうか」
大柄な体躯、鍛え上げられた腕、瞬発力に優れた脚。何よりも目を引くのは顔立ち。似ているであろうところは僅かにあれど、歳の差と先に生まれたということから、随分とかけ離れた表情だ。
昔からこの男は苦手だった。
自分たちを蔑むわけでもなく、ただ兄弟として見るわけでもない。そんな目を向けていたから。
「お前と少し話がしたかった。昔からお前たちは二人で一つだった故…心配していた」
『今更ですか』
「今更…そうなるだろうな。だが、事実だ」
『…何を企んでおいでで?』
だんまりを決め込むでもなく、彼はあっさりと答えた。
「お前の腹の中のモノが知りたい」
『…ほう』
流石は兄上。
鋭くあられる。
「ただの呪霊なんぞではあるまい。腰の刀も、異質な気配がする。何を飼っている?それこそ甚爾のような呪霊ではないだろう」
『…蛇を、蛇を飼っております』
「蛇」
『それはもう凶悪な蛇を』
何ら言い返してくることもなく、ただひたすらに彼は俺を見つめた。見定めているのだろうかと、僅かに不安がよぎる。
しかし、その後何ら会話することもなく俺たちは別れたのだった。
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ツバメ - なんか甚爾が居ないのを前提にしてるからそこは凄くさびしいけど、彼女の意思と決意が強すぎてつい本人みたいに引き込まれてしまいそうです (2021年7月27日 23時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
黒野麻陽(プロフ) - クレイさん» 応援ありがとうございます、期待に応えられるよう精一杯やります!! (2021年3月11日 20時) (レス) id: 53793cef18 (このIDを非表示/違反報告)
クレイ(プロフ) - 続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月11日 20時) (レス) id: a6777d967f (このIDを非表示/違反報告)
黒野麻陽(プロフ) - てる。さん» コメントありがとうございます!できるだけ面白く書けるように頑張ります!! (2021年3月5日 15時) (レス) id: 53793cef18 (このIDを非表示/違反報告)
てる。 - 話の中に凄い引き込まれました。一言ではいい表せませんが、言葉が見つからない…!更新、楽しみに待ってます。 (2021年3月5日 14時) (レス) id: 5ec2a8a618 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒野麻陽 | 作成日時:2021年2月17日 22時