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四十五話 ページ45

伏黒side



重々しい扉が開き、地下から出てきた父さんの姿に俺はひどく安堵した。腕以外にも確かにひどい傷はあるし、青痣も多々あるが、生きてくれていたことにひとまず深く息を吐いた。

ゆったりと一歩を踏み出して、父さんに歩み寄る。

明るみに出て眩しいようだが、すぐに日傘を持って現れた達己さん。俺に気がついたらしくいつも通りの笑みを浮かべた。


「腕は、大丈夫なんだよな」

『心配するな。しっかりと動く』


泣きそうな顔をするなと俺の頭を撫でる腕は、肩から少し下に、焼きつけたような形で接合されていた。綺麗に消えるらしいから安心したが、正直言って五条先生への信頼は格段に落ちたと言っていい。

振り向けばそこには五条先生の姿がある。

拳を握りしめて、彼に問う。


「釈放の条件は何ですか」

「呪術師への復帰と、東京校での教師活動。任務の際は最低でも四名は監視役の術師と、補助監督を付けることが絶対条件ね。それからもうひとつ」
「これは上層部からのお達しじゃなく、禪院家現代当主である直毘人からのものだけど。戻って来いってさ」

『ハッ、当主の候補に入れてやるってか』


いつになく険しく不機嫌な表情で、睨みつけるように先生を見る父さん。家のことを不満に思っているのはいつものことで、それなりに理由もあるだろうけど。

でも、こんなにも怒っている父さんは初めてだった。


『どうせ直哉あたりと戦わせるつもりだろうが。断る。あんな家に居座るくらいなら、上層部の依頼受けてる方がマシだ』

「なぜ?権力があれば」

『何でもできるなんて思ってんのは、いいとこの坊ちゃんか、昔から人を見下して生きてる人間くらいだぞ。いいか小僧、テメェみたいに権力に塗れた生活してるとな、いざ後ろ盾がなくなるとすぐに死ぬハメになるんだよ』

「…僕は家に頼り切ってるわけじゃ」

『ははは!お前は権力に溺れてる。どのみちその目が使い物にならなきゃ、五条家の出来損ないどもと同じ末路を辿ってたろうが』


一つ教えてやる。
権力なんざ持ってるだけ無駄だ。

融通聞かせて生き残るなら、強くなればそれでいい。

どんな手を使ってでもはい上がれればそれでよし。
後ろ盾がなけりゃ生きられないなんて、退屈だろ。



.

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ツバメ - なんか甚爾が居ないのを前提にしてるからそこは凄くさびしいけど、彼女の意思と決意が強すぎてつい本人みたいに引き込まれてしまいそうです (2021年7月27日 23時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
黒野麻陽(プロフ) - クレイさん» 応援ありがとうございます、期待に応えられるよう精一杯やります!! (2021年3月11日 20時) (レス) id: 53793cef18 (このIDを非表示/違反報告)
クレイ(プロフ) - 続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月11日 20時) (レス) id: a6777d967f (このIDを非表示/違反報告)
黒野麻陽(プロフ) - てる。さん» コメントありがとうございます!できるだけ面白く書けるように頑張ります!! (2021年3月5日 15時) (レス) id: 53793cef18 (このIDを非表示/違反報告)
てる。 - 話の中に凄い引き込まれました。一言ではいい表せませんが、言葉が見つからない…!更新、楽しみに待ってます。 (2021年3月5日 14時) (レス) id: 5ec2a8a618 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒野麻陽 | 作成日時:2021年2月17日 22時

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