四十一話 ページ41
八岐大蛇side
傷ついた体を癒す最中、どうやら云須は夢を見ているらしく、すやすやと…それこそ幼子のように寝息を立てて穏やかに目を閉じている。目元を尾で撫でてやれば、くすぐったいのか少しばかり身を捩った。
可愛らしい我が子。
決して己の子ではないにしろ、この者は余と契りを交わした者ゆえに、体には我が血がながれている。
ゆえにこの者は我が子にたる存在。
愛し、愛し、愛し、愛する義務が余にはあり、共に生き生かす理由がある。
「八岐大蛇なんて特級仮想怨霊は聞いたことないんだけど」
五条の小僧の言葉を、ふん、と鼻で笑いのける。
《何を言うか。余は呪霊などという下等な存在ではない。余は妖、偉大なる妖魔であるぞ。あの気に食わぬ両面宿儺なぞと一緒にされては困るというものだ》
「…噂には聞いてたけど、本当に妖はいるんだね」
《当たり前だ!特級仮想怨霊などはかつて妖であったモノの成れの果てよ。今もなお妖としての力を宿し、仮想怨霊なる存在として在るモノは少ない》
《妖は言の葉から生まれたる恐怖が形を持ったモノだ。我らのように神話として綴られるモノ、未だ子供らの躾として語られるモノ。それらが妖としていまを生きておるわ》
子供の間で今もなお語られるとすれば、トイレの花子というやつが最も名高かかろう。
妖は語る者が多ければ多いほど、知られれば知られるほどに力を増し、一部で崇められれば神域にすら足を踏み込めるほどに力をつける。
それをあの両面宿儺などという人間が、我らを呪霊なぞという下等な存在へと堕とした。
ああ、疼く。
この牙が疼く。
あの愚かな小僧の頭蓋を噛み砕き、骨も残さず腹の中で溶かしてやりたい。
「妖は呪力を必要としないわけ?」
《ハッ!そんなモノ必要ないわ。言の葉は呪力以上に力がある上、人間さえいれば良い。我らに恐怖や信仰を向けておれば存在できるのだ。人に憑くというのもそういうことだ》
《云須とは契りを交わしたゆえ、憑くというおざなりなモノではないが》
「どういうこと?」
この子は我が血を飲むと言ったのだ。
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ツバメ - なんか甚爾が居ないのを前提にしてるからそこは凄くさびしいけど、彼女の意思と決意が強すぎてつい本人みたいに引き込まれてしまいそうです (2021年7月27日 23時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
黒野麻陽(プロフ) - クレイさん» 応援ありがとうございます、期待に応えられるよう精一杯やります!! (2021年3月11日 20時) (レス) id: 53793cef18 (このIDを非表示/違反報告)
クレイ(プロフ) - 続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月11日 20時) (レス) id: a6777d967f (このIDを非表示/違反報告)
黒野麻陽(プロフ) - てる。さん» コメントありがとうございます!できるだけ面白く書けるように頑張ります!! (2021年3月5日 15時) (レス) id: 53793cef18 (このIDを非表示/違反報告)
てる。 - 話の中に凄い引き込まれました。一言ではいい表せませんが、言葉が見つからない…!更新、楽しみに待ってます。 (2021年3月5日 14時) (レス) id: 5ec2a8a618 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒野麻陽 | 作成日時:2021年2月17日 22時