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三十九話 ページ39

五条side



任務もようやく落ち着いて、ゆったりとした足取りで特別拘束室に向かう。予想通り、大量の呪符を貼り付けられ、札付きのしめ縄で拘束された云須さんが、静かに目を閉じて部屋の隅に座っていた。

よっこいせと床に腰を下ろす。

彼女が座る周囲はあからさまに酷いことをされたと物語っていて、血みどろで反転術式もかけられていない様を見るに、無抵抗のままなのだろう。
どうやら限界ですらないみたいだ。
末恐ろしいね。

ふと、背筋に嫌なものを感じる。
禍々しく悍ましい何か。
そう、何かがいる。

云須さんは依然として眠ったまま。しかし何かがうろついている。不思議に思いつつ見ていると彼女の足元から、徐々に徐々にと呪力の具現が現れた。


(なんだ…?!)

《そう身構えずとも良い。宿主を治してやるだけ故、じっとしておれ》


ずるりと現れたのは巨大な黒い蛇で、体は炎の光を跳ね返さず、吸収しているかのように黒い。
赤い瞳を輝かせながら云須さんの体を包み込む。


《いやはや人間も手加減というものを知らぬ。この者が死ねば、困り騒ぐは己であることを知らん。無知たるは愚かなることと知れば良かろうて》

「…」

《さて、暫し時間がかかる。話し相手になってやっても良いぞ。五条の抱き合わせや》

「僕を知ってるということは、君は呪霊なのかな」

《あっはははは!なんたるや。そこな男は余を知らぬときた。では名乗らねばなるまいか?良かろう。我が名を教えようぞ》


我は遥か昔、須佐之男命より首を討たれたる妖魔。


八岐大蛇である。


言葉を失うなんてものじゃない。
これは目にしてもいいものじゃないだろうが。

八岐大蛇?

確認されている特級呪霊、特級仮想怨霊にもいない。つまり未確認の呪霊。
それがこの女に宿ってるだって!?

呪霊が宿る人間には必ずしも同じとは言えないが、わずかにでも呪力があるということが確認されている。単純に言えば術師であっても気が付かないような、そんな少量であってもだ。

こうやって存在を維持するだけでも至難のはず、であればなぜこの呪力が一切ない、云須に宿っているんだろうか。

何を隠している?



.

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ツバメ - なんか甚爾が居ないのを前提にしてるからそこは凄くさびしいけど、彼女の意思と決意が強すぎてつい本人みたいに引き込まれてしまいそうです (2021年7月27日 23時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
黒野麻陽(プロフ) - クレイさん» 応援ありがとうございます、期待に応えられるよう精一杯やります!! (2021年3月11日 20時) (レス) id: 53793cef18 (このIDを非表示/違反報告)
クレイ(プロフ) - 続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月11日 20時) (レス) id: a6777d967f (このIDを非表示/違反報告)
黒野麻陽(プロフ) - てる。さん» コメントありがとうございます!できるだけ面白く書けるように頑張ります!! (2021年3月5日 15時) (レス) id: 53793cef18 (このIDを非表示/違反報告)
てる。 - 話の中に凄い引き込まれました。一言ではいい表せませんが、言葉が見つからない…!更新、楽しみに待ってます。 (2021年3月5日 14時) (レス) id: 5ec2a8a618 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒野麻陽 | 作成日時:2021年2月17日 22時

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