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三十二話 ページ32

篤正side



刃が風を裂く音がする。夏の夜風が淀みを生み出し呼吸を浅くし、やがては喉を締め殺し、人を亡き者にする。しかしそれは臆病者がなる始末、俺たちには関係などない。
目の前に立つ呪術師が、正しくそうなろうとしている。今俺たちは囲まれているが、命取りとなっているのは襲ってきた連中だ。
中心には脩蛇さま。取り囲むようにして俺たち七人衆が守りを固めている。手には八鞘だが、こいつにはそれぞれに数字が当てはめられているし術式も違う。

だから、相性がある。
特に問題はないが。


『こりゃまた大胆に来たもんだな。よし、誰が一番首を取れるか勝負してみろ』

「「 はっ! 」」

「負けねぇぜ」

「ハッ、雄也。あんまし調子乗ってると痛い目見るぞ!」


隣に立っていた雄也の背後に刀を振り上げれば、不意打ちを狙っていた敵の首が飛び、血飛沫も上がる。雄也は悔しそうな顔をして、目の前の術師の両腕を削ぎ落とし、頭を二つに割った。

血が鋼を伝ってアスファルトに落ちる。

染み込んでゆく音すら聞こえそうなほどに、周囲は静かになっていた。全員の処理が終わったようで、脩蛇さまは俺たちの仕事ぶりに満足したらしい。
笑みを浮かべ、彼は軽く拍手し、褒め称えてくれる。


『さすがだ。強くなったな。勝負する暇もなかった』

「いえ、脩蛇さまのおかげです。ありがとうございます」


彼の言葉に俺たちは膝をついて感謝を述べ、すぐに立ち上がって彼を取り囲んだ。


『しかし、連中はゆっくりさせてくれやしねぇな』

「そりゃこんなザマ見せられて黙ってる方がおかしいでしょ」


ニィ…と口角を引き上げてギリギリと歯を軋ませる様を見るに、彼はこの時を待っていたと言わんばかりだ。しかし今回は手を出さないと決め込んだのだろう、どうやら話し合いでどうにかするつもりらしい。

燃え上がる怒りが心の奥で縛り付けられたままでいる。

おそらく一級と準一級であろう術師を連れて現れたのは、五条悟。刀を抜こうとしたが脩蛇さまが俺の肩に手を置いて、制する。


『お前たちは手を出すなよ。だが向こうが仕掛けてきたなら首を飛ばしていい。好きに始末しとけ』

「はい」


わずかでも彼のために役立てるように動く。
それが俺の役目。



.

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ツバメ - なんか甚爾が居ないのを前提にしてるからそこは凄くさびしいけど、彼女の意思と決意が強すぎてつい本人みたいに引き込まれてしまいそうです (2021年7月27日 23時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
黒野麻陽(プロフ) - クレイさん» 応援ありがとうございます、期待に応えられるよう精一杯やります!! (2021年3月11日 20時) (レス) id: 53793cef18 (このIDを非表示/違反報告)
クレイ(プロフ) - 続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月11日 20時) (レス) id: a6777d967f (このIDを非表示/違反報告)
黒野麻陽(プロフ) - てる。さん» コメントありがとうございます!できるだけ面白く書けるように頑張ります!! (2021年3月5日 15時) (レス) id: 53793cef18 (このIDを非表示/違反報告)
てる。 - 話の中に凄い引き込まれました。一言ではいい表せませんが、言葉が見つからない…!更新、楽しみに待ってます。 (2021年3月5日 14時) (レス) id: 5ec2a8a618 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒野麻陽 | 作成日時:2021年2月17日 22時

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