空っぽの暗殺者【 ONE PIECE 】 (ページ30)

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３０話ページ30

カタクリside

「そういえばロズ、ブリュレがお前に用があると言っていたぞ」

俺の言葉と同時に鏡から出てきたブリュレ。書類を机に置かせてそのまま手を引っ張り、再び鏡へと消えた二人の姿。完全に気配が消えたのを確認し、シビックにソファにかけるよう勧める。

新しいカップにお茶を注いで差し出し、彼は微笑みながら会釈してカップを手に取る。俺も一口飲んでから座り直して、先に口を開いた。

「で？先ほどのあれは何だ」

「マリージョアの件ですかい。ええ、まぁ、簡単に言えばただの安置確保ですな」

「安置確保？天竜人の最高位たる五老星の下に付くことがか。果ては七武海の権力を寄越せとは、些かあいつにしては欲張りじゃないのか」

「旦那がそう思うのも無理はないさな。現状、儂らは中間に浮いとるんだ。表向きは彼方さんの正義の味方、裏向きは此方さんの犯罪行為…これらを正当化するには必要なんだ」
「色々と調べはしとるだろうが、彼方さんは儂らが旦那のお袋さんの所有物であることを知らんのじゃ。最近じゃ、儂らの航路の記録を調べ始めとるとの報告もある」

今まではどうにか、任務が伸びただの何だのと言い訳できとったが、もう隠しきれんところまで来てしもうとる。
限界に触れる前に手を打つべきだと、ロズは思ったんじゃろう。

苦渋の決断であったはずだ。
天竜人に仕えるなどアイツからすれば吐き気のする現実だ。少なくとも誰も喜びなどしない。いつ命を取られるかもわからない…うちも言えたものではないが、それでも尚のことだろう。

「シャボンディーを経由して来たが、CP０の馬鹿どもの尾行もあった。あの子にはあの子の考えがある、その考えの行き着いた先。最大限の自由を獲得するには七武海の権力と五老星と同等の立場が必要だった、ただそれだけのことよ」

「…俺たちに迷惑をかけまいと？」

「それもあるが、一番は動きやすさだろうの。いかにして何を回避し、何をつぶすべきか。今はただ待ってやっておくれ。儂らも儂らであの子を案じとるんじゃからな」

老人特有の微笑みは、いつか見た彼女の笑みに似て暖かさがあった。ただ待つこと、それが今の俺にできる最大限の支えというわけか。

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