空っぽの暗殺者【 ONE PIECE 】 (ページ22)

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２２話ページ22

マルコside

黒豹のミンク族であるというその海兵はカタクリの事を話すと、無表情だったその顔をほんの僅かに崩した。

太陽に反射する艶やかな毛並み、逆立つ髪は風に靡き、唯一明るい色素を持つ瞳は体の色によってさらに際立つ。

あのカタクリが結婚を承諾するわけだと、内心納得する。だが、全く読めないその顔と雰囲気には侮れない恐怖を抱かせる何かがあった。

「で？何を話しに来た」

親父がロズに聞いた瞬間。

俺たちの身の回りを風のような…だが何か重いものが流れ、他のクルーを気絶させていた。残ったのは親父と俺たち隊長だけ。
ロズの方に視線を向けると、その背後の船の梁に一人の女が腰掛けているのに気がつく。下顎にはめ込む様に機械のようなマスクを着用したその女の口は、まるで真っ暗な闇のように黒く大きい。

顎の関節部にあるダイヤルをカチカチと調節するのを見て、親父は聞く。

凪の一族か、と。

「ご苦労」と労いの言葉をかけるロズ。女はひらりと両手を小さく広げて「お安いご用で」と応える。

『流石は玉座にほど近い方、凪の一族をご存知なのですね。彼女の名はコラン・ユジムス。純血の凪です』

「まぁ、うちにも混血だが数人いる。そこの小娘ほど力は強くねぇがな。グララララ！」

「フレーベンたちのことかよぃ。親父」

「ああ。凪の一族は音や声で人の精神なんかに干渉し、操る。純血は貴族と王族を意味し、混血は民を意味する」
「力が強すぎる連中はああやって音を調節するもんを付けなきゃ、なりふり構わず力を振るっちまう」

「それで、私たちに話とは？」

ビスタが拍車をかけるように問うと、緩んでいた表情がすぐに真剣なものへと変わった。
コランと呼ばれた女は腰に携えた長剣を外して杖の代用品として、柄の部分に手と顎を乗せている。

『そう遠くない未来、今までにない戦争が起る。私はそう予測しています』

「戦争？」

「…どんな輩とだ」

『あなた方と我々との、全面戦争です』

「そんなハッタリを俺らに教えに来たなら帰んな」

「イゾウ、黙ってろ」

親父の聞いたことのない低い声に、俺たちは目を見開いた。

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