空っぽの暗殺者【 ONE PIECE 】 (ページ3)

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３話ページ3

スモーカーside

『正確には…というよりも、しっかりと意味を表すならば、特殊諜報暗殺局ですね。殺し屋と情報屋の集まりみたいなものです』

「殺し屋って、じゃあ」

『我々は海軍の極秘部隊。いわゆるサイファーポールのような仕事を受け持つ機関です』

「加盟国または非加盟国を監視するっつー話か」

『結論づければそうです。どこかの国の王の暗殺、敵組織への潜入兼壊滅作戦の実行。その他諸々、表で働く皆さんの代わりを受け持っていますよ』

コトリとテーブルにカップを置いてゆくロズ。
その仕草は普通の人そのものの仕草で、特に違和感は感じない。

細い腕だ。
握れば折れてしまいそうなほどに、細い。

こんな腕で人の首を刺すのか。
そう考えると、背に僅かに悪寒が走った。

「彼らはＣＰと違い、政府直属ではなく、海軍の保有する組織だ。だから、我々だけで動くべき仕事などは、彼女らが処理してくれている」

「つまりは汚れ仕事か」

『極端に言えば、ですが』
『我々は…まぁ、死を待つ精神異常者ですから』

「死を待つ、精神異常者…？」

ここに集まる兵士は皆、失うものが無い。
言わば、噂の通り＂空っぽ＂なんですよ。

彼女のその言葉に俺は不安を増幅させ、センゴク元帥に振りかぶり、変わらぬ小声でこう問いかけた。

あんたまさか、戦争孤児やらを訓練してないだろうな

と。
問いに対して答えたのはロズで、なぜかこいつは笑っていた。

『そんな事はありません。そう言いたいところですが、我々の４分の３はそうです。人はこれを悲しいと呼ぶが、我々は違います。悲しいとは思わない』
『単純な理由としては、生きられるからが大きいですね。生活を欲する子供は多くいるものですし』

「だからって、それが許されるわけじゃねえだろ」

『少年少女の子供たちが兵士として生きることの、何が悪いんですか』

先ほどの笑みをたたえた表情とは打って変わり、ロズの顔は無表情だ。

感情を宿さない瞳が俺を見据える。

戦場で一番怖いのはこういう奴だ、と入隊した当初、青雉さんが言っていたのを思い出す。

生きることにも死ぬことにも執着が無く、ただひたすらに戦場で走り続ける…そんな子供や大人の兵士が、最も恐ろしいのだ。

いまならその言葉の意味がよくわかった。

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