空っぽの暗殺者【 ONE PIECE 】 (ページ16)

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１６話ページ16

シャンクスside

ガリガリに痩せ細り、誰彼構わず襲いかかるガキだったあいつが、あんなにも綺麗な女に育つかね。

しばらく見ないうちに随分と大人になった。ミンク族特有の髪も爪も…何もかもが成人としての佇まいになっている。
娘の成長を見守るってのはこういうことなのかねぇ、とため息をつく。

しかし、あいつらにつきまとうサイファーポールにはうんざりする。なにを企んでるのかは知らないが、少し懲らしめとくかな。

「ベン」

「わぁってるよ。後始末までしとくか？」

「好きにしろ、俺は少しロズと話してくる」

海岸に腰を下ろすロズの隣に、どかっと腰を下ろして海を眺める。
さざ波の音に紛れて先に言葉を発したのは、ロズの方だった。

『白ひげ海賊団への接触の許可を頂きたい』

「白ひげ？なんでまた」

『……』

「連中が関わってるって？」

『そうとだけ』

肝心なことを話さないのはこいつらの流儀であり、仕事柄の癖でもある。それを理解するのには数年を要したが、今じゃ顔を見ればどう思っているかもわかってやれるようになった。

ごく僅かに眉根を寄せ、妙に真剣な面持ち。

これは事が大きく動こうとしている時に見せる顔だ。何か嫌な事が起きているんだろう。

センゴクもひどいことを任せるものだな。

「許可してやるが、なぜ俺に？」

『貴方以外に頼れる人間はいませんから』

「まぁ、白ひげ絡みとなりゃそうだよな」

『……サイファーポールに関しては感謝します。ですが、これからマリージョアに向かわなくてはならないのです』

「余計だったか」

『いえ。助かります』

立ち上がって俺に手を差し伸べるロズの手を取り、さっと立ち上がって船まで一緒に歩く。

気づけば歩幅もそんなに変わらないくらいには、身長が伸びている。
ああ、お前はこんなにも大人になったんだな。

どうかこのまま…危険なことに首を突っ込まないでほしい。叶わぬ願いだとわかってはいるが、娘みたいなこの子には、そうあってほしいと思う。

俺の出来ることはしてやらないと、いつか身を滅ぼしてしまいそうで。

それが常に恐ろしい。

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