過去編 ホントの悪者とは ページ34
・・・
結果は散々だった。
なんとか相手国には勝ったものの、こちらの軍隊の人数が
4割も削られてしまう羽目に。
『(また軍を立て直す必要がありそうだ、…)』
ーーー
『は、…』
上司が死んだ。
アザと怪我、自分か相手かも分からない血が体にべっとりとくっついていて、疲れきった顔で戻ると、部下からの
第一声はそれだった。
戦場とは違った焦り。
あの忌まわしい上司がいたせいで…
良くも悪くもこうしてきて、何万と数えられないくらい
の命をこの手で自ら弾き落としてきたのに。
今までのは何のためにやってきたというの、
駄目だ、まだ…、わ…俺には任務が、…
_命令が必要なんだ…、
『ッ〜…!!!』
怒り、という感情を初めて実感し、
ぶつけようのない気持ちに床をバンと叩いた。
ーーー
ヒュー、…ヒュ、ー…
誰の声だ。
そもそも人間の声か、
虫の息、という表現がぴったりな空間だった。
恐らく部屋であろうそこには、周りが見えないほどに
真っ暗で、冷たかった。
先程からヒュー、と一定のリズムを刻み鳴るそれは、
呼吸音である。
見えない、とは言ったもののいずれは目が慣れてきて、
ぼんやりと形が映るようになった。
『ぅ…、』
傷だらけの体で、
部屋の隅に体育座りをする人影が見える。
床には、鮮色な血がまばらになっていて、
様々な銃、爆弾や弓、剣が散らばっていた。
それらにも血がついており、
それを誰が見てもこう答えるだろう。
_全て自 殺しようと使った物だ、と。
彼女は国だ。
国は自分の意志では死ねない。それをわかっていた上で
死のうとした。
きっと、上司の死を悔やんでこうなったのではない。
本人が一番わかっている事だった。
上司は死んだにも関わらず、未だに命令を求めている自分を憎んでこうなったのだ。
子供が1人の意志で生きていけないのと同じように。
『はは、…』
傷をつけた箇所がどんどん薄れて元通りになっていく。
ここで、2度目の死を受けた気分になった。
ーーー
クレトニア王国では、王や、その国のトップが滅びた後、
暫くは民衆が中心となり国の行方を決めていました。
しかし、度重なる悲劇と戦争によって、領土は一時期スペインのものに…。
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うさぎ丸(プロフ) - 親分推しにはたまらん回 (2022年7月17日 8時) (レス) @page38 id: 330c134a9f (このIDを非表示/違反報告)
トレーダ - 絵上手いですね!絵が上手い人って憧れます! (2022年7月12日 0時) (レス) @page23 id: 36f3d357e5 (このIDを非表示/違反報告)
RYP!(プロフ) - うさぎ丸さん» ありがとうございます!!後でもう一度書き加えるかもです (2022年7月10日 22時) (レス) @page22 id: 4d2d529cd2 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ丸(プロフ) - 絵可愛い......しゅき............ (2022年7月10日 21時) (レス) @page22 id: 330c134a9f (このIDを非表示/違反報告)
トレーダ - 今日の更新最高! (2022年7月9日 13時) (レス) @page16 id: 36f3d357e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RYP! | 作成日時:2022年7月2日 16時