第8話 Part7 黄色ブドウ球菌 ページ42
× × ×
「Aさんは知っていたんですか?」
『し、知らないよ…。知ってたらそもそも呼びに行かなかった…。』
ヒソヒソと赤血球ちゃんに応えると、マクロファージさんは赤血球ちゃんの口に人差し指をあててウインクをした。
「乙女には秘密の一つや二つあるものよ♡」
いつの間にか背後に立たれていたことに気づき、耐えらなくなって4989番達の方に逃げた。
「俺たち今回黒焦げにされただけだった…」
『はは、お気の毒に』
「って言って、そんな事心にも思ってないでしょA」
『思ってなくたって言うもんなんだよ』
じとッとした目がこちらを見てくるのが分かるが、それでも気付かないふりを突っぱねた。
こういう子供っぽい所では4989番の右に出る奴はいないだろう。
「__あら、そういえば聞いたわよ?パトロールをサボって鼻腔に遊びに行った困ったさんがいるって」
うふふ、と笑いながらそうマクロファージさんが囁いた。
冷や汗がダラダラと溢れて出てきて、思わず手に握っていたナイフを落としてしまった。
『さ、さあ?一体なんの事やら…___ってあ゙』
それを拾おうとした拍子にべとり、と落としたのは、食べれずに困っていたお饅頭。
頬が引き攣る。
「あらあら、困ったさんね?Aちゃん」
『あ、あああの、これは〜…、』
友人達はマクロファージを前にしたAの動揺と焦りっぷりを見て、少し可哀想だなと感じた。
行き場のない手がガッチリとマクロファージによって掴まれてしまった。
「困ったさんには、私たちの特訓にでも付き合ってもらいましょうか?
ね?Aちゃん♡」
「あらあら、そんな事したらAちゃんが困っちゃうわよ〜」
「いいじゃない♡何度も練習に付き合って貰ってるんだから〜!」
『え、あ、…あの…!、』
「じゃあ、行きましょうね。皆さ〜ん♡」
「「「「はぁ〜い♡」」」」
拒否権の適用されない空間に、とうとう取り乱したのか必死の訴えで1146番や2048番、4989番に眼力の圧力をかけた。
__が、全員揃って目線を逸らした。
ただズルズルと引き摺られていくAの姿を、一同は見守る事しか出来なかった。
「あらら、お気の毒になぁ…」
4989番はしょっぴりと眉を下げて遠くを見つめた。
ー第8話 黄色ブドウ球菌 完ー
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RYP!(プロフ) - 本当に筆折れたりしがちな作者の尻を引っぱたいてくれてありがとうございます!!そんなに楽しみにしていただけたなんて…。練ってはいるんですけどね、…筆が!!…「コイツどーせ面倒くさくなってんだな」って思ってやって下さい( ߹꒳߹ ) (12月25日 23時) (レス) @page35 id: 4d2d529cd2 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - わっ…‼︎凄く嬉しいです...‼︎‼︎コメントした時点でもう更新ないかな、と思っていたのでまさかのサプライズ的で本当にもうサンタさんありがとうー!!!って感じでもう本当に嬉しいです😭💕 (12月24日 6時) (レス) @page35 id: edc1be7ede (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - 黄色ブドウ球菌の更新楽しみにお待ちしております!!! (2023年4月23日 9時) (レス) @page35 id: a43bf613b6 (このIDを非表示/違反報告)
凩(プロフ) - ヒ……APHの方から来たんですけどめっちゃ好きです…。 テスト勉強大変そうですが、負けずに頑張ってください…好きです……………… (2023年2月19日 22時) (レス) id: 6676e97410 (このIDを非表示/違反報告)
しょう - めっちゃ好みでした!続き楽しみです!テスト頑張ってください! (2022年6月20日 23時) (レス) @page22 id: b8eda32ef2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RYP! | 作成日時:2022年5月21日 21時