第8話 Part2 黄色ブドウ球菌 ページ37
× × ×
『ッうゔ…』
その仕草に何故か寒気を覚えると共に少しだけ苦手意識が芽生えてしまった。何かしらの本能が拒絶反応を起こしている。
そんな人の気も知らないでそそくさと去っていってしまった例の細胞。
いつまで経っても掴めない人だ。
「あの、…さっきの細胞さんは…?」
『あの人ね、…あの人は__』
赤血球ちゃんがそう聞いてきたので答えようとした時、ぴくりと耳が反応した。
ガタガタ…と遊走から誰かが出てくる音が聞こえる。
「抗原発見んんんんん!!!
___ん、あれッ!?あ、Aと赤血球…抗原はもう殺したのか?」
『…あの人は"単球"さんて言って、免疫細胞のうちの一人だよ。
…ま…マクロファージ…サンとか、俺たち好中球、NK細胞の姉貴、樹状細胞さんとかそうだね』
話の途中で遊走からでてきた1146番そっちのけで赤血球ちゃんにそう説明した。
話の文脈を掴んだであろう1146番は相槌を打って続ける。
「ああ、単球さんか。俺たち好中球もたまに一緒に仕事するんだ。
血管中の数は少ないけど、貪食能も遊走能も旺盛でとても頼れる人だぞ!」
『俺はあんまし会わないけど』
「それはお前が細菌の駆除をしないからだろう…、
さて、そんじゃあな。引き続き仕事頑張れよ」
「はい!」
1146番はある程度話した後で赤血球ちゃんにそう言ったっきり、再び遊走を使って戻って行った。
アレでこちらに苦言を呈さなかったのは、俺にどうこう言っても無駄だとわかっているからに違いない。
ーー
「それで、Aさんはこれからどうなさるんですか?」
『って言ってもやることないしな、迷子にならないように案内したげるよ』
全身パトロールって言う名目でサボれるし、と付け加えると、赤血球ちゃんに仕事は大丈夫なのかと心配された。
『んーーーとね、ちょっと確認するね』
通信機からパトロール区域の場所についての履歴を探して、そのまま再生してみる。
《さて、2469番だが…小腸のパトロールにあたってくれ。
くれぐれも全身パトロールという名目でサボるなんて真似をするんじゃ…___》ブチ
『……うん、問題無いよ』
「えええ…!?良いんですかそれ、!!?」
この後赤血球ちゃんと鼻腔に行って再び単球さんに出くわしたり饅頭を貰ったりと色々あって一息つくことになった。
ーー
ひとこと
〇赤血球はグルコースのみを栄養源としているので糖が好き。
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RYP!(プロフ) - 本当に筆折れたりしがちな作者の尻を引っぱたいてくれてありがとうございます!!そんなに楽しみにしていただけたなんて…。練ってはいるんですけどね、…筆が!!…「コイツどーせ面倒くさくなってんだな」って思ってやって下さい( ߹꒳߹ ) (12月25日 23時) (レス) @page35 id: 4d2d529cd2 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - わっ…‼︎凄く嬉しいです...‼︎‼︎コメントした時点でもう更新ないかな、と思っていたのでまさかのサプライズ的で本当にもうサンタさんありがとうー!!!って感じでもう本当に嬉しいです😭💕 (12月24日 6時) (レス) @page35 id: edc1be7ede (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - 黄色ブドウ球菌の更新楽しみにお待ちしております!!! (2023年4月23日 9時) (レス) @page35 id: a43bf613b6 (このIDを非表示/違反報告)
凩(プロフ) - ヒ……APHの方から来たんですけどめっちゃ好きです…。 テスト勉強大変そうですが、負けずに頑張ってください…好きです……………… (2023年2月19日 22時) (レス) id: 6676e97410 (このIDを非表示/違反報告)
しょう - めっちゃ好みでした!続き楽しみです!テスト頑張ってください! (2022年6月20日 23時) (レス) @page22 id: b8eda32ef2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RYP! | 作成日時:2022年5月21日 21時