第8話 Part1 黄色ブドウ球菌 ページ36
× × ×
ここは人間の体の中。
今日も今日とて平和___
…だと思っていた時代が私にもありました。
『ったく、なんでこうも目立つのかねこのレセプターは』
初期設定をミスってからというもの、暫くそのままでやっていたら同僚から音声付きGPS(命名:4989)とかバカにされる羽目になったそれ。
普通に被害なきゃ大丈夫だろ、と安定のスルーをかましていたら少し遠くの方で赤血球ちゃんの指導係である先輩サンを目撃。
見た限り慌てている様子だったので少し声をかけてみることにした。
『ドモ先輩サン、お久しぶりです』
「あッ、Aさん…!!
赤血球ちゃんは何でそんなにトラブルに巻き込まれるのさ。
確かに先輩サンの指差した先を見れば赤血球ちゃんがハチャメチャに逃げ惑っている。
『ッ、しゃあねぇ…、』
細胞に危害を加えられてるのを見過ごすのは出来ない。
グッ、と足に力を込めて勢いよく駆け出す。体勢を低くしたままぐるりと一回転をキメて飛び跳ね、素早く腰からアンチテロナイフを抜き取る。
『元気そうじゃん』
「は、白血球ッ!?…いつの間に___」
「Aさん…っ!!」
逃げ惑っていた赤血球ちゃんが行き止まりに追い込まれたところでナイフを持ち直しキラリと光る先端を蠢いている触手に突きつけ…かけたその時だった。
「どふぅぅッ!!?」
『ミ゜』
まさにナイフが触手を掠めていたその瞬間、真横から物凄い勢いのパンチが細菌を襲った。
慌てて体に急ブレーキをかける。
驚き過ぎて変な声が出てしまった程に。
そのまま乙女みたいに手を口に当ててしまう程に。
「ゔ、…いてて、誰だ…テメーは…_っうばッ!!」
そのまま倒れた細菌は1HIT、2HIT、3HITと、全身防護服に覆われた細胞に殴られ続けている。
チョットカワイソウ…と白血球にはないであろう細菌への情が湧きはじめたころ、持ち合わせていた散布機でトドメをさしてしまった。
「ど、…どうもありがとうございました…、Aさんも…。」
『俺からも…ど、どうも…、』
「…」
『あ、サムズアップのスタンスなんだ…』
赤血球ちゃんがお礼を言ったので、合わせて会釈をするとコー、という独特な呼吸音と共に親指を立ててサインを送ってくれた。
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RYP!(プロフ) - 本当に筆折れたりしがちな作者の尻を引っぱたいてくれてありがとうございます!!そんなに楽しみにしていただけたなんて…。練ってはいるんですけどね、…筆が!!…「コイツどーせ面倒くさくなってんだな」って思ってやって下さい( ߹꒳߹ ) (12月25日 23時) (レス) @page35 id: 4d2d529cd2 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - わっ…‼︎凄く嬉しいです...‼︎‼︎コメントした時点でもう更新ないかな、と思っていたのでまさかのサプライズ的で本当にもうサンタさんありがとうー!!!って感じでもう本当に嬉しいです😭💕 (12月24日 6時) (レス) @page35 id: edc1be7ede (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - 黄色ブドウ球菌の更新楽しみにお待ちしております!!! (2023年4月23日 9時) (レス) @page35 id: a43bf613b6 (このIDを非表示/違反報告)
凩(プロフ) - ヒ……APHの方から来たんですけどめっちゃ好きです…。 テスト勉強大変そうですが、負けずに頑張ってください…好きです……………… (2023年2月19日 22時) (レス) id: 6676e97410 (このIDを非表示/違反報告)
しょう - めっちゃ好みでした!続き楽しみです!テスト頑張ってください! (2022年6月20日 23時) (レス) @page22 id: b8eda32ef2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RYP! | 作成日時:2022年5月21日 21時