第7話 Part13 がん細胞 ページ33
× × ×
『空気感ぶち壊しちゃった…進めて』
「………本当は、
本当は僕だってただの細胞なんだ!
この体の一員として皆とただ毎日平穏に生きていくはずだった…、こうやって君と刃物を交えることなく、笑い話をしたかった…なのに!!!」
涙ながらにそう訴えるがん細胞。
彼の悲痛な胸の内は、どことなく昔の___に、似ている気がする。
____って、誰?
昔の…って、何の事だ。
『…ごめん、細胞くん。そんな事言われたって、やっぱり君はがん細胞で、俺たちはこの身体を生かす細胞だ。
愛も、情けも、自由も、幸せも…。
そんなのは嘘だ』
そこに正義がどうとか、正当性だとか。
そんなまどろっこしい綺麗事は何も無いのだ。
腐っても白血球、腐ってもウイルス、腐ってもがん細胞。
「分かってるよ、そんな事…。
でも、今日が終わったらどうせみんなすぐ忘れてしまう。
僕の恨みも怒りも悲しみも、誰にも聞いてもらえないまま、風化してなかったことになってしまう…何も残らない。
手違いが元で出来損ないとして生まれて…。
そのせいで味方になるはずだった免疫細胞に命を狙われて…、
戦って負けてこの世界に何も残せず死ぬなんて…
なんのために生まれて来たんだ………!!」
がん細胞の言葉はどれも重くのしかかってくる。
何も言える言葉が見つからず、帽子を深く被り直すことしか出来なかった。
『…言い分は聞いた。でも殺すということが仕事である以上、
やらなければならない、使命がある。』
「…フフフ、負けといてやるよ、今回はな…!!」
『あ、でも一つ良い?』
「いいよ別に…、もう何も無いさ…」
『俺の無線機どこ』
あれ高いんだからね結構。(支給品)ノイズキャンセリング機能(大嘘)搭載してるんだからさ。
結構真面目な顔をしてがん細胞に問いただした。
「……」
『は?お前最後の最後でシラ切るのか??』
「…多分、廃墟かな。ちゃんとあると思うよ…うん、」
原型を留めてるとは一言も言ってないけど。
問題の瞬間
どこが視線を逸らしがちだったがん細胞があっ、と思い出したようにこちらへと向き直った。
「じゃあ、最後に僕からも一言いいかな。」
『これで終いにしようか』
もう悪いこと思い出したくないからね私が。
君も忘れなよね。
「君は_______。」
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RYP!(プロフ) - 本当に筆折れたりしがちな作者の尻を引っぱたいてくれてありがとうございます!!そんなに楽しみにしていただけたなんて…。練ってはいるんですけどね、…筆が!!…「コイツどーせ面倒くさくなってんだな」って思ってやって下さい( ߹꒳߹ ) (12月25日 23時) (レス) @page35 id: 4d2d529cd2 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - わっ…‼︎凄く嬉しいです...‼︎‼︎コメントした時点でもう更新ないかな、と思っていたのでまさかのサプライズ的で本当にもうサンタさんありがとうー!!!って感じでもう本当に嬉しいです😭💕 (12月24日 6時) (レス) @page35 id: edc1be7ede (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - 黄色ブドウ球菌の更新楽しみにお待ちしております!!! (2023年4月23日 9時) (レス) @page35 id: a43bf613b6 (このIDを非表示/違反報告)
凩(プロフ) - ヒ……APHの方から来たんですけどめっちゃ好きです…。 テスト勉強大変そうですが、負けずに頑張ってください…好きです……………… (2023年2月19日 22時) (レス) id: 6676e97410 (このIDを非表示/違反報告)
しょう - めっちゃ好みでした!続き楽しみです!テスト頑張ってください! (2022年6月20日 23時) (レス) @page22 id: b8eda32ef2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RYP! | 作成日時:2022年5月21日 21時