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私がついた頃には趙国との戦争を始めて数日が立っており、秦軍の歩兵たちの徒労は痛々しく感じられるほどだった。

私は天幕から出てすぐさま、布で鼻から下を覆っておいた。

未だにドキドキする心臓を抑えながら、私は亡霊のようにフラフラと当たりをさまよう。

「いてぇっ!おい、どこ見て歩いてんだ」

肩にドンッと鈍い衝撃が走り、突然の罵声に私はぶつかった相手を睨みつける。

なんなんだ、こいつ。

「ぶつかって来たのはお前だろ?なぜ、私が文句を言われねばならんのだ」

「なんだとこらぁ?」

今にも飛び掛ってきそうな目つきの悪い少年は私にガンを飛ばす。

「てか、お前、初めて見る顔だな?どこの隊のやつだ?」

「人に名を聞く時はまず、自分から名乗るのが常識だろ?」

そう言って私は相手を軽くにらみつけると、少年は観念したように両手を上げる。

「わぁったよ、俺は信だ。で、お前は?」

「お前に名乗る筋合いはない」

「んなっ!なんなんだお前、感じ悪いやつだな」

少年は呆れたような目でこちらをじっと見つめてくる。

こいつが信か。

たしかに、河了貂の言う通り、馬鹿でアホでだらしなさそうなやつだった。

こんなやつが、政様の1番の仲間、とはどういう事だ。

私はその場で大きくため息をついた。

「あ、お前、今ため息ついただろ?ため息つくと、その分だけ幸せ逃げるんぜ」

「余計なお世話だ」

漂が言ってた、とつづけた信に私はくるりとその場で回れ右をし、立ち去ろうとした。

「ちょっと待てよ!」

その声とともに私は後ろから手を引かれ、バランスを崩す。

背中に衝撃が走り、地面に倒れ込んだことを理解した私は恐る恐る目を開けた。

目には信の顔がどアップで映っている
周りから見れば、信が私に覆いかぶさっているように見えるだろう。

誤解されるようなことだけは避けたい。

「は!?おい、お前、 早くどけろ」

少々パニックになって叫ぶ私を気にとめず、信は私の顔へと手を伸ばす。

やばい。

私は目を閉じ、心を決めた。

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(プロフ) - llmzさん» コメントありがとうございます!!蒙恬かっこいいですよね!珠海平原での蒙恬は鼻血ものです笑オチはまだ考えてないけど、考えときます笑これからもよろしくお願いします! (2019年7月6日 7時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
llmz(プロフ) - 更新ありがとうございます。毎日楽しく読まさせて貰っていて、とても続きが気になります!蒙恬推しの私からするとオチは蒙恬がいいなと思います。てへ。お忙しいとは思いますが陰ながら応援しています。コメント失礼致しました。 (2019年7月5日 21時) (レス) id: 13d9da937b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 仙花さん» いえいえ、私もこの機会に中国史について色々振り返れたので、楽しかったです!このような機会をありがとうございました!! (2019年6月17日 16時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
仙花 - 羋というのは楚の王族に使われる姓だと聞いたことがあったので、熊啓が名前なんだと私は解釈してましたが、熊という名前にそんな意味があったんですね。分かりやすい説明ありがとうございます。 (2019年6月17日 15時) (レス) id: 8f9569ed44 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 仙花さん» コメントありがとうございます!昌平君の本名についてはまた本文で言及させて頂きたいとおもうので、そちらを見ていただけると嬉しいですm(_ _)m (2019年6月16日 22時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年6月14日 20時

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