はじめまして3 ページ9
目の前には、本丸御殿と白文字で書かれた、それはそれは大きな門がそびえ立っていた。
奥には石畳が敷かれた道が、さらにその奥には荘厳な建物が広がっていた。
水瀬ひなこ「ここが、本丸…」
ここが、私の戦う場所…。
ここまで色々あったのに、本丸をみたこのときが一番、私の身のまとう変化を強く実感した。
この大きな本丸に比例して、私がこれから抱えることの大きさを悟り、もう戻れないのだと感じた瞬間だった。
チリンっと音がして、その主の先を見る。
そこにはゆったりとした所作で、本丸の階段から下るこんのすけがいた。
こんのすけ「お待ちしておりました。審神者様。ここまで歩いていらっしゃるのは、さぞ大変だったでしょう。さあさあ、中は暖まっておりますゆえ。」
とこんのすけは言うと、きびすを翻し、私についてくるように促す。
下駄を脱ぎ、本丸の中に足を踏み入れる。
水瀬ひなこ「あ、あったかい…」
廊下を進み、障子で囲まれた部屋の中に入ると暖気が部屋を満たしていた。
こんのすけ「最初は本丸内の空調を調節することが手間取ってしまうため、失礼ながら審神者様をあの場に置いて先に参らせてもらいました。大変申し訳ありませんでした。」
そうこんのすけはふわふわした頭を少し下げ、謝った。
私はこの時初めて次元に閉じ込めると脅し、ひどい雪道に放置したこの狐に愛着みたいなものをもった。
未だにこの狐が掴めないけど、結構キレやすいということと、審神者として時の政府に協力すれば親切になるということだけはわかった。
とりあえず、ちゃんと審神者として仕事をすれば、次元にとじこめられることはないようだ。
もう私には選択肢はない。
もう元の世界にもどれないなら、やるしかないのだ。
こんのすけ「では、まず審神者様には、刀剣の中の付喪神を引き出す技を習得していただきます。」
こちらへ。とこんのすけは私にいうと廊下へでた。
私はドキドキとしながら、こんのすけの後につづいた。
広々とした庭が見える廊下を通り、ある一室にたどり着いた。
“鍛刀部屋”と書かれた部屋に入ると、白い布をかけられた、台座が2つあった。
一つには抜身の刀が置かれている。
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作者名:PANANA | 作成日時:2020年12月19日 8時