異世界転生のお決まりの展開で、なぜか審神者になっちゃった話。 (ページ8)

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はじめまして2 ページ8

水瀬ひなこ「とりあえず、一刻も早く、建物に入らなきゃ…」

こんのすけはこの道を進めば本丸にあるって言ってた。
道というか、木々が両端に立ち並んでいるだけなのだが…
ここでウジウジしてても仕方がない。
私は、ふんっと鼻から白い息を吐き出し、一歩を踏み出した。

______というのが、2時間前。
　
もう2時間も歩いているのに、全然本丸どころか建物すらみえてこない。
そろそろ、体が限界をむかえ始めていた。
頭がぼーっとし、視野がぼやぼやとしている。

こんのすけめ。私がちょっと急かしただけで、キレてこの仕打ち。
まさか、私をこのまま殺すつもりなのだろうか。
…いや、人手不足で困ってるっていってたし。こんなことで殺さないはず。……はず。

そんなことを考えてると、なんだか向こうに、オレンジ色の光がぼやっと見えた気がした。

いや、間違いない。確かに光ってる。

水瀬ひなこ「や、やった…!」

感覚が薄れてきた体に少し力が入るのを感じた。
私は光めがけて雪道をボブボブと跳ねるようにかける。

進めば進むほど、膝まであった雪がふくらはぎ、足首と、少なくなっていく。
そして光をはっきりと目の前にしたときには既に、雪は地面を固く覆うほどにまで減っていた。

水瀬ひなこ「すごい…」
思わず感嘆の声を洩らしてしまう。

横に20人近く並んでも問題ないほど、横幅がある階段。両サイドには細かい模様が掘られた石燈籠が立ち並ぶ。その中で不思議なことに、オレンジ色の炎が、ふわふわと、まるで魂のように浮かんで光を放っていた。

その幻想的な美しさに目を奪われながらも滑らないよう、慎重に階段を登る。
　
あれ?でも…
　
水瀬ひなこ「階段には雪が積もってない…」

ここにくるまでに雪がかなりつもっていたはずなのに、変だ。
　
でもここまで普通じゃないことが続いていたから、きっとこれも魔法かなにかなのだろうとすぐに納得してしまった。
　
本丸までの道を囲うように、太く、そして先端が見えないほどに成長している木々が軒を連ねている。
その木々の一つに、白い鳩が止まってるのが見えた。
首元にあのこんのすけと同じ大きな鈴をつけた、もっちりと太った鳩。
　
目が合うと、その鳩はパタパタと音を立て、私がいく階段の先に飛んでってしまった。

　
あの鳩も喋るのかな。こんのすけみたいに。
　
鳩が喋る様子を想像してたらあっという間に階段を登り切っていた。