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親友1 ページ1

桜が舞い、暖かな風が肌をすり抜けていく、そんな季節。
私は“卒業式”と細長い看板に達筆な字体でかかれた校門の前で、3年間を共にした大切な友達と一緒におしゃべりをしていた。
水瀬ひなこ「みなみの荷物、見た?3年間ロッカーにためにためてた教科書やらノートやらをいっぺんに持ちかえんなきゃいけなくて、前が見えないくらい大量に抱えててさあ。」
千早「も〜。みなみちゃんたら、前から計画的に分けて持って帰らないとって言っといてたのに…。やっぱりそういうことになっちゃったかあ…。」
 
おしゃべりの内容はほんとにたいしたものではない。
地元の大学に進学することになった私と、海外の大学に進学することになった千早。
この校門で分かれたら千早は夜の便で日本から離れてしまう。つまり、しばらくもう会えなくなる。
…いや、もしかしたらこれが今生の別れになるかもしれない。
大好きな親友だし、またいつか会いたいとはもちろんのこと思ってる。だけど、海外の立派な大学に進学したら、きっと新鮮な刺激を次々千早は体験するだろう。
あちらにいって千早がわざわざ私にまた会いにきてくれるという自信がなかった。

私の世界の中を千早が占める割合は大きいけれど、千早はどうなんだろう?
ただクラスがたまたま3年間同じだったというだけで、千早にとって私は暇なときの話し相手に過ぎなかったかもしれない。
それでも私はすごく楽しかった。
気遣い上手で、暗い悩みも嫌な顔せず聞いてくれて、しっかりもので、海外で貧しい子供の教育に携わりたいなんていう大きくて素敵な夢を持ってなんにでも精一杯努力する、そんな親友。
私はそういう千早が大好きだった。
 
水瀬ひなこ「もっと一緒にいたかったなあ…」
千早「え?」

ハッとして思わず口を抑える。
気づいたら思ってたことが口に出てしまったらしい。
恥ずかしさで顔が熱くなる。

千早「………。」
そんな私をきょとんした表情で少しの間みた後、千早は、スクールバッグからなにかを取り出して、私に差し出した。
千早「…はい。これ。」
水瀬ひなこ「なに?これ…。プレゼント?」
千早「そう。今日のために水瀬ひなこに渡そうと思ってたプレゼント。あけてみて?」

そう促されて、私は包み紙を丁寧にあけてみる。
水瀬ひなこ「これ…。ピアス?わあ、かわいい。」
 

親友2→



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作者名:PANANA | 作成日時:2020年12月19日 8時

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