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兄弟子・氷葉 ページ3




鱗滝さんに言われAさんと修行をすることになった。いつものように罠だらけの山で修行をするのかと思ったけど、Aさんが選んだのは鱗滝さんの家の前。

「家の前で修行っ!!?」
「なぁに、簡単さ。炭治郎クンは俺のひょっとこ面を外すだけでいい」

そう言ってAさんは自分のひょっとこ面を指差す。これを外すだけでいいのか。でも、明らかに簡単すぎるんじゃないか。Aさんのひょっとこ面は簡単に紐でくくりつけているだけであって外すのはすごく簡単そうだった。

「本当に外すだけでいいんですか?」
「ウンウン、それで構わないよ」

Aさんは「俺は炭治郎クンの手から避けるだけだから、簡単だよね」と話すと、「いつでもいいよ」と声をかけた。その言葉と同時に俺は足を踏み出しAさんのひょっとこ面を外す…はずだった。

目の前にいたはずのAさんは瞬きをする頃には消えていて、Aさん特有の甘いにおいも感じなくなった。

「どこ見てるのー炭治郎クン?」
「え?え!いつのまに!!」
「よそ見しないでくれよ、悲しいじゃないか」
(よそ見?たしかにあの時俺は面をつかもうと…)
「もう一回っ!」

今度はAさんの肩を掴む。よし、これなら…
ひょっとこ面に手が触れ「いける!」と外しにかかる。が、また瞬きの間にAさんの姿は消えていた。

「どういうことなんだ。瞬きをするとAさんの姿が消えてる…」
「ここだよ炭治郎クン。さっきからどこに向かって手を伸ばしてるんだ?」
「っ!!」

−−−それから何時間も触れてはいなくなり外そうとすればいなくなりの繰り返し。

結局俺は一度もAさんの面を外すことができなかった。動きまくって汗まみれの俺に比べてAさんは一滴も汗をかいていない。

(本当にどうなってるんだ、この人…!!)

俺がこの人の面を外せる日はかなり遠いらしい………


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作者名:アンヘル | 作成日時:2019年10月4日 9時

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