道明寺財閥の次女

＊ ページ22

『ありえないっつーのーーー!!!!』



非常階段で前の牧野のように叫ぶA。
いきなりの事に類も唖然としていた。


花沢「A？」
『つくしの真似。本当にスッキリする』
花沢「あはは、Aも変わったね」
『え...？』


何が？と言いげな顔をするAに類は微笑む。


花沢「逃げなくなったじゃん」
『そう....っかな』


花沢「ニューヨークに着いて行ったのは自分で逃げだって話してたけど、今こうして向き合ってて凄いと思うよ」
『類だって逃げなかったじゃない』
花沢｢俺は逃げたよ｣


壁へ寄っかかると晴れ渡る空を見上げて類は呟いた。


花沢｢本当の初恋は静じゃなかったんだ｣
『え.....？』

.
.
.

花沢｢Aだった｣


まさかの告白にAはつい、黙りこくってしまった。


花沢｢でも総二郎がAを好きって聞いて、2人を見てると入る隙もないじゃんって思って諦めた｣


そして今も牧野から逃げた。
そう言う類の顔は切なげだった。


『類も変わったよ』


Aが何を言うのか耳を傾ける。
するとAは優しい表情で言う。


『他人に興味を持つようになったじゃない。つくしの事、みんなの事。逃げてる人の変化じゃないわよ』


いつもそうだ。
内向的で苦しんでいた時も、いつも支えて助けてくれていたA。
またAに助けられるなんて。


『ありがとう、類。』
花沢｢______A...！｣


Aは類の頬に軽く口付けをした。
類はAがキスした頬を触ると何が起きたのだと目をぱちくりさせる。


『ニューヨークでは挨拶よ、浮気じゃないから』
花沢｢ずるいね｣


初恋は叶わないなんて自分で呪ってただけじゃないか。

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