私の仕事は声優業【下野 紘】

９話目 ページ10

紘「ねぇ花江くん出来上がってない？w」

江「5分くらい前からこんなです」

夏「下野さんー！遅いじゃないですかー!!」

紘「ごめんてw」

上着を脱ぎながら花江の隣に座り、それと同時に席を立つ那月に他の人は目をやった


リ「どこ行くの？」

「女性にそういう事聞いちゃダメ」

江「お花摘みですね？」

「お黙りww」

江口たちはケラケラ笑いながら見送る


那月は靴を履き、店の外に出るとスマホに表示されているメールを確認した

『明後日の夕方、取材撮影とその後に急遽イベントの打ち合わせが入りました事をお伝えします』



上着から煙草を取り出し、口に咥える
いつものようにカリッと噛み砕き、肺いっぱいに煙を入れ込んだ


明日は3件現場入りして、レッスンと新曲PV撮影。後なんだっけなぁ…


なんて考えていると、いつの間にか二本目を咥えていた


火をつけようとすると、咥えていた煙草が外された。

紘「こんな事だろうと思った。
この間『偶にですー』って言ったのどこの誰よ。」

普段なら何かと反論してくる彼女だが、今回ばかりは、静かに黙り込んだ



紘「仕事、嫌んなった？」

「好きですよ。楽しいし」

紘「じゃぁなんで？」

「…プレッシャーなんですよ。全部が…期待されてて、嬉しいはずなのに…怖いんです」

俯き、今にも壊れそうな小さな姿。
いつもの堂々とした様子はなく、護りたい

そう思わせる。


紘「那月さ、全部を頑張らなきゃって根詰めて、息抜きする場所がないんじゃないの？」

「…。」

紘「(図星ね)

それ、俺じゃだめ？」

「…え？」

下「那月の事は、俺が支えたい。

まだデビューしたての頃から、ずっと見てきた。なんていうか…


好き、なんだよね。

…だから、俺と」



『付き合ってくれますか』


………


「なーんて事から、もう半年以上経つのかぁ」

寺「なに？」

「んー、下野さんと付き合って半年も経ってるのかぁって」

寺「あー」

梶「発表しないの？」

「なんかタイミング失っちゃいまして
それに、下野さんと結婚するのは梶さんなんで」

梶「なんでだよww」

寺「森ちゃんも忙しいもんなぁ。でも、結婚式は呼んでね？」

「梶さんの？」

梶「あんたのだよ！」

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