大好きって言って 【赤羽業】

大好きって言って ９３ ページ48

「うーん、楽しいけどちょっと憂鬱。
泳ぎは苦手だし、水着は体のラインがはっきり見えるし。」




と、カエデが言った。



「大丈夫さ。茅野その体も。いつかどこかで需要があるさ。」





と言いながらカメラを構える岡島くん。





あーあ、没収されるぞ。







『業は、入らないの？』








「彼女のAが入ってないのに彼氏の俺が入ったらAつまんなくなるでしょ。」









『でも、業、渚くん呼んでるよ？行ってきてもいいよ。』









「そう？ならいいけど。」







と言って、業はプールに飛び込んで渚くんたちのもとにいった。






「おーい、A」







『ん？どうしたの？陽斗』







「まだ治んねぇのか、」






『あと1週間だってさ。』






「そうか。Aは、まだあの時のこと引きずってんのか？」







『うん…。何回もね。前を向こうとしたんだけど。お姉ちゃん達の遺伝かな。自己犠牲しちゃうのは。』









「自覚があるだけマシだと思うぜ。」








そう言って、陽斗は磯貝くんの元へ行った。








みんな、家族がいる。

兄がいる。姉がいる。妹がいる。弟がいる。

その中でも私はかけがえのないお姉ちゃん達とお兄ちゃんを失った。




犯人は未だ、捕まっていない。



きっと、警察も諦めたのだろう。







あの時から、私たち家族の時間は止まったままだ。

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