霞柱は惚れさせたい弐【時透無一郎】 (ページ30)

今日:24 hit、昨日:0 hit、合計:108,805 hit

漆拾玖ページ30

『しのぶさん…私…その任務に行きます』

私がそう言うと、無一郎もしのぶさんも目を丸くした

『…私、自分の育った村だから…荒らされたくない…』

本当は生き残りがいたのかもしれない…

鬼たちに住み着かれるのも困る

しのぶ「…分かりました。私からお館様にお伝えしておきます。ですが…無理だけはしないように」

しのぶさん…

『ありがとう…』

しのぶさんは、にっこりと微笑んで部屋を出た

無一郎「本気で行くの？」

『うん…行くよ』

無一郎「…なら、僕も行きたい」

また…心臓がドキッと鳴った

『…でも、決めるのは私じゃないからね？』

私が自分勝手に相手を選ぶことは不可能

……無一郎といたいって気持ちは…ある

何故かそれが伝えるのが難しい

無一郎「…もし、僕も一緒に行くことになったら…Aのこと守らせてね？」

『…無一郎』

私のことを好きだと言ってくれた時から…

いや、その前から無一郎のことを気にしていたのかもしれない

『無一郎…』

無一郎「ん？」

『わ、私もね…無一郎のこと守りたい…』

伝えられた。こんなにも伝えるのが難しいって思えるのは久しぶり

無一郎「え？」

『無一郎も…他のみんなも…守りたい…こんなにも守りたいって思えたの…久しぶりなの…もう少し…あともう少しで…感情を思い出しそうなのに…思い出せない…』

涙が溢れてしまった

無一郎は優しく私を抱きしめてくれた

無一郎「伝わったよ。Aの気持ち。だから、無理しなくていいよ」

私は思わず無一郎に抱きついた

無一郎「わっ/// (僕、今日寿命なのかな…)」←

『…ありがとう』

その一言だけ…私は無一郎に伝えた…

無一郎(……僕の理性ぶっ壊れるよ。ほんと。僕に抱きつきながら、ありがとうの破壊力を知った方がいいよ。うん)←