元公安の彼女は車椅子に乗っています。 ２

６２． ページ15

「ええけど今は、統括検事で同期だった日下部検事の上司です」









「そうです！」




橘さんが入ってきた。









「岩井検事は妙なことに羽場二三一の窃盗事件がきっかけで出世したんです。
…ところで、これは？何故私や私の元事務員のことをお調べになっているんですか」









「えっと……」




妃さんの事務員の方が回答に困っていると、妃さんがフォローに回った。








「ごめんなさい！先生のことをよく知っておきたくて、私が栗山さんにお願いしたの」









橘さんは、資料を捲った。






「…よく調べてある、あなたも優秀な事務員だったようね」









「あなたも？まるで羽場さんもそうだったって言ってるみたいだけどその人は窃盗事件を起こして境子先生の事務所を潰した悪い人だよね？」









「あれは二三一のせいじゃない…！！」









「「「『えっ…』」」」









「私が……無力だったから、」









「下の名前で呼ぶんだね。自分の事務所で働いていた人の事を二三一って…」








……そうか、この2人は恋人…。




「彼が拘置所で自 殺したことは？」









「え？えぇ…」









「その自 殺は、拘置所で公安警察に取調べをしたあとすぐだったんです。」









「……なんで、公安警察が？」









「…そんなこと、聞いたことありません…」









「二三一の自 殺にはそんな奇妙なことが重なっていた。」









「…あの、羽場二三一さんは司法修習生を罷免されてますよね？」









「裁判官を目指してたってこと…？」

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