元公安の彼女は車椅子に乗っています。

４６． ページ47

「……え」









「…は」









『…………』




不穏な空気が流れた。

うーん、けど公安事件は弁護が難しい。





そう思ってると、フォローするように妃さんが言った。



「あぁ…でも、公安事件は難しいのよね。」









「はい、検察が起訴した事件の勝率はご存知の通り九割以上。」









「…それが、公安事件だともっと上がる」









「つまり、勝てるわけないんです。けど私はケー弁なので。」


と。スマホを片手に持った。








「…ケー弁？」









「事務所を持たず、携帯で仕事を取るフリーの弁護士のことよ。」









「だから、不利な弁護もやらないと」









「……それで、お父さんの弁護を？」









「弁護士を探しているんですよね？
弁護士会で聞きました。やらせてください。」







と、橘さんは強く言った。






「ちょ、ちょっと待ってください！



Aさんもちょっといいですか？」









『あ、うん』




車椅子を操作しようとするとコナンくんが押してくれた。








『ありがとう、コナンくん』









「どういたしまして！」









「…ダメだよお母さん、あの弁護士全然勝つ気ない…！Aさんも思いましたよね？」









『うーん…まぁね』



……零くんはいつ毛利さんを解放してくれるんだろう。

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