お見合い相手が泣き虫な金髪君だった【弐】

お見合い５７ ページ7

善逸「Aさん！」




A「？」





善逸さんに大きな声で名前を呼ばれ、私は振り返った。





善逸「目、目を瞑ってもらってもいい……？」




A「？うん」





顔を赤くした善逸さんがそう言ったので、

私は大人しく目を瞑った。



すると、額に手が当たる。




少し経っても何も言われないので「どうかしましたか？」と尋ねたら、

「もうちょっと待って！」と言われたので私は待った。





善逸「ど、どうかな……？」




A「……わあ」





善逸さんの声に目を開けると、そこには鏡に映った私がいた。




長くて真ん中で分けてただけの前髪が、

綺麗に編み込まれて髪留めでとめられている。



す、凄い……。





善逸「いつもお見舞いにきてくれたから、

なにかお礼ができたらなあって思って……。


万屋で髪留めを買ったら、

店主の娘さんが結い方を教えてくれてね。



えへへ、良かったぁ凄く似合ってるよ」




A「！」





その時、善逸さんと可愛らしい女性が談笑している光景を思い出した。



あの時、凄い嫉妬にかられたが、

あれは全て……私のためだったんだ。




私は鏡を自分を見た。



兄に似てないこの顔を可愛いと思ったことはないが、

この編み込まれた前髪があるだけで随分と愛着がわく。



そして、綺麗な髪留め。


黄色と水色の飾りが施されていて可愛らしい。





A「……善逸さん、ありがとう。

ずっと大事にするね」




善逸「うん！」





私がそう言うと、善逸さんは顔をほころばせる。



私もつられて一緒に笑った。





時透「……笑ってる」




甘露寺「素敵な笑顔ね、Aちゃん！」




宇隨「俺、笑ってるの初めて見たぞ……」




炭治郎「え、俺たちといる時はよく笑いますけど……？」





この時、柱全員が思った。





柱「(俺/私達……嫌われすぎじゃね)」





当たっているか外れているか、


それはAにしかわからない。

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