お見合い相手が泣き虫な金髪君だった【弐】

お見合い７１ ページ21

A「……暇だ」





私は客間でごろりと横になる。


善逸さんたちが任務に行き、

私はますます暇になってしまった。



そのため、夜中にこっそり屋敷を抜け出して、

朝日が出る前に市中の見回りをしている。





A「善逸さんの女装……とても見たい」





今から遊郭に遊びに行こうか。


少し遠いけど、藤の花の家に泊まればいけるな。



……思い立ったら即行動。




私はそう思うと、立ち上がった。



かけられてあった新しい羽織をはおる。





あまね『何色に致しましょうか』




A『……この色でお願いします』





あまね様に頼んだ色は、蒲公英(たんぽぽ)色。


善逸さんの髪と羽織の色だから。




前と同じく、下にいくにつれて蒲公英色が濃くなっていて、模様は鮫小紋。



……兄の羽織は、実家に送った。

今は家宝のように飾られているそうだ。





A「栗花落さん、私は出かけてきますね」




カナヲ「！」





玄関に行く途中で、栗花落さんを見つけて声をかける。


炭治郎君と会ってから、彼女は随分変わった。

『お人形さん』と言ったが、今では可愛らしい少女だ。





栗花落「あの！」




A「なにか？」





靴を履こうとすると、呼び止められた。



振り返って彼女を見ると、

なにか言いたげに口を動かしていた。


こういう時は待つのが一番だろう。





栗花落「……その、護衛を…………」




A「大丈夫ですよ。

善逸さんたちに会ってくるだけですから。


何かあったら、私の鎹鴉を飛ばします」





鬼と何度か会ったが、

姿が変わったため誰も気が付かなかった。



私本人に対して、『慈悲深い鬼狩りはどこだ』と言うものもいたし。





栗花落「で、でも……」




A「これでも柱候補ですよ。安心して下さい」





私はそう言うと、栗花落さんに手を振って屋敷を出た。

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