お見合い66 ページ16
善逸「……はい、できた」
A「ありがとうござ……」
善逸さんの合図に私は目を開ける。
お礼を言おうとして、その言葉は消えた。
いや、言えなかった。
A「善逸……さん?」
善逸さんの顔が間近にあったから。
鼻先が触れるか触れないかの距離。
善逸さんの瞳には熱がこもっていて、
私は逸らすこともできず口をきゅっと結んだ。
なんとなく、雰囲気で察した。
善逸「……Aさん」
吐息混じりに名前を呼ばれ、私はゆっくりと瞳をとじた。
_____ちぅっ
その時、小さな音が響いた。
なんとも可愛らしくて愛らしい音が。
微かな温もりが広がり、すぐに離れる。
私はそれと共に瞳を開けた。
善逸「あ……その、」
視界には、顔をほんのり赤く染めた善逸さんがいた。
歯切れ悪く言葉をつむぎながら、地面のほうを見つめている。
……私達は今、接吻をした。
柔らかかったあの温もりは、善逸さんのものだろう。
嫌じゃなかった。
……むしろ、待っていた自分がいた。
A「自分でして照れるなんて、面白いですね」
私はそう言って、笑ってしまう。
なんというか、愛らしい。
善逸さんは呆けた顔で私を見ると、
次第にもっと顔を赤くさせて私の胸元に頭を寄せた。
善逸「……緊張、したんだけど」
A「私も初めてですよ。
……それに、嫌では無かったです」
私はそう言うと、善逸さんの頭を撫でた。
勇気を振り絞った接吻。
初々しくて胸がほこほこした。
こういう時、やっぱり私が歳上なんだなって思う。
まあ、一歳しか変わらないけれど。
善逸「……もう一回、して、いいですか」
私の胸元から小さな声が聞こえる。
照れたような声に私はまた笑みをこぼしていた。
A「善逸さんが満足するまでいくらでも」
私がそう言うと、
善逸さんは静かに顔を上げ、また私に口付けをした。
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うさ - 完結おめでとうございます!善逸の良さがめちゃくちゃ出ていて、一気に読んでしまいました.......!!夢主ちゃんの感情の変化にもとても感動致しました。続きなど書かれるのかなぁと少し期待しております笑 (2019年9月15日 3時) (レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
渡邉 なちゅ。(プロフ) - ぴゃあさん» 作品全体を褒めて頂きありがとうございます!大変恐縮です!後半で文ごっちゃになったので、そこは反省してます……もっと読みやすくなるよう日々精進致しますので、見守って頂けると幸いです。次回作への期待もありがとうございます!とっても嬉しいです! (2019年9月12日 12時) (レス) id: 1c6c46020b (このIDを非表示/違反報告)
ぴゃあ(プロフ) - 完結したとのこと、お疲れ様でした。この作品の夢主が本当に凛々しくてぶれず、素敵なキャラ性で好感が持てたこととなちゅ様の文体が読みやすく、すっきりしているなぁと思っていました。また次の作品がもしあるのなら、是非読ませて頂きます。ありがとうございました。 (2019年9月12日 9時) (レス) id: 3b8ee76993 (このIDを非表示/違反報告)
渡邉 なちゅ。(プロフ) - 花帆さん» 善逸君の良さがでていたのなら良かったです。私も番外編を書こうかな、と思っています。頑張りますので、暫しお待ち下さい!コメントありがとうございました! (2019年9月12日 6時) (レス) id: 1c6c46020b (このIDを非表示/違反報告)
渡邉 なちゅ。(プロフ) - 甘党犬さん» フォローありがとうございます!こちらもフォローさせて頂きます!こちらこそ、よろしくお願いします^^ (2019年9月12日 6時) (レス) id: 1c6c46020b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渡邉 なちゅ。 | 作成日時:2019年9月5日 17時