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お見合い47 ページ47

私は、藤の家紋の家の子だから、

『人喰い鬼』を知っていた。



だから、わかった。




……お兄ちゃんが『人喰い鬼』になってしまったことに。





A『なんで……どうして……?』





私はお兄ちゃんに駆け寄った。



でも、お兄ちゃんによって止められた。





兄『A……箱を持って来なさい。

引き出しの中にしまってある、あれを……』




A『な、なにを……』




兄『いいから!早く!!』





お兄ちゃんにそう怒鳴られ、

私は震える体を必死に動かして引き出しを開けた。



そこには、鬼殺隊の方からもらった木箱が入っている。



私はそれを取ると、お兄ちゃんに渡す。

もしかして、人に戻る薬が……?





だが、中身を見て私は驚愕した。





A『お兄ちゃん……まさか…………っ!』





そこには、短刀があった。



私はすぐにわかった。



……お兄ちゃんが死のうとしていることを。





兄『ごめんな、A。

俺の手は、もうぐちゃぐちゃでさ……。


Aがこれを持ってくれ。

俺を、俺を……殺してくれないか』





お兄ちゃんはそう言って、穏やかに微笑んだ。



聞きたくなかった。


わかりたくなかった。


お兄ちゃんを殺さないといけないなんて。


りかいしたくなかった。





A『嫌だ…ずっと、一緒って……言ったじゃん』




兄『ごめんな』




A『なんで、どうして……。

私には、私には、できない、無理だよ……!』




兄『A』




A『っ』





お兄ちゃんに静かに名前を呼ばれ、私は肩がビクリとあがる。



お兄ちゃんは、私を見ていた。

真っ直ぐと。



まるで、懇願するように。





兄『俺は……人を喰いたくない。

だから、お前の手で逝かせておくれ』




お兄ちゃんは私の手に塚を持たせ、それをぎゅっと握らせる。



そして、ぐちゃぐちゃな手で私の手首を支えると自分の首へと持っていった。





兄『お兄ちゃんを……人殺しにしないでおくれ。


Aの大好きな格好良いお兄ちゃんで終わらせてくれないか』





お兄ちゃんはそう言うと、にっこりと微笑んだ。

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渡邉 なちゅ。(プロフ) - 花帆さん» ありがとうございます!その件に関しては、二巻のほうで続きが若干書かれています。そうですね、自分たちを重ねて、この二人には生きて欲しいと心の中で思っていそうですね! (2019年9月7日 9時) (レス) id: 1c6c46020b (このIDを非表示/違反報告)
渡邉 なちゅ。(プロフ) - バナナ さん» ありがとうございます!毎日できるだけ更新しますので、楽しんで頂けると嬉しいです! (2019年9月7日 9時) (レス) id: 1c6c46020b (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 面白いです!善逸くんと他の子がデートしてたぽいのが、後にどうなるのか…気になります!! 夢主さんとお兄さん仲良すぎて辛い…(つд;*)炭治郎と禰豆子と重なったりしそう…(泣) 続編も楽しみです(o>ω<o) (2019年9月7日 4時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
バナナ - すごく面白い!更新楽しみです! (2019年9月6日 22時) (レス) id: 4fbc396aff (このIDを非表示/違反報告)
渡邉 なちゅ。(プロフ) - こんなんでどうですか。サブさん» ストレートな告白ありがとうございます!応援ありがとうございます!とっても嬉しいです!投票をして頂き感謝感激雨あられでございます! (2019年9月4日 23時) (レス) id: 1c6c46020b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:渡邉 なちゅ。 | 作成日時:2019年8月30日 7時

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