お見合い相手が泣き虫な金髪君だった

お見合い１８ ページ18

冨岡「……雨仁に同意だ」





冨岡さんはそう言って、颯爽と駆け抜けていく。


私もそれに続いて走った。





胡蝶「どちらも無愛想ですこと。

そんなんだから、嫌われるんですよ」





胡蝶さんがそう言っていたのを私達は知らなかった。




私は途中で冨岡さんと離れ、森の中を駆けて行った。


善逸さんは見つからない。



暫く走っても、糸の残骸などがあるだけだった。





A「何処なんだ……」





何処にいるの。



善逸さん、お願いだから無事でいて。

貴方が傷つくのは……。





A「嫌なんだ」





もう誰かを失いたくない。





『A……俺を殺せ』





この手で最愛の兄を殺した。


それが何よりも苦しかった。




私は鬼を恨んでいるわけじゃない。


鬼にだって……優しい人がいる。

兄のように、優しく誇り高い人がいる。



私は知っている。

鬼が『悪』ではないことを。


だから、救うんだ。



もう二度と大切な人を失わないために。




どうして善逸さんを思うのかわからない。


この気持ちをわからない。



でも、失いたくない。





A「必ず、助ける……！」





私はそう言うと、また駆け出した。



血の匂いのするほうへ。





冨岡「雨仁、こっちだ」




A「冨岡さん」





すると、冨岡さんと合流した。


冨岡さんに続いて、私も走る。





冨岡「……隊員と十二鬼月だ。

俺が隊員を守る。お前が殺れ」




A「わかりました」





私はそう言うと、大きく周り冨岡さんと離れる。



大回りして十二鬼月の背後をとり、

そこから仕留めるつもりだ。





A「……これは、鬼が二人いる？」





私は、風に乗った匂いにそう呟いた。

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