かわいい２１ ページ21
A『だって…だってぇ……っ』
それに、日輪姉様が治してくれたじゃないか』
昔、私はよく泣く子だった。
自分の力が制御できず、
すぐに庭の草花を枯らしてしまうから。
触れただけで。
傍にいるだけで。
黒く萎れていく花を見ては大声で泣き出すため、
その泣き声を聞きつけた日輪姉様と恵一郎兄様が駆けつけてくれた。
そして、私が枯らした花を姉様が元に戻し、
兄様が花が咲くまで成長させる。
恵一郎『父上が言っていただろう？
Aは歴代でも力が強いほうである、と』
A『嫌だよぉ。誰かを殺しちゃう力なんていらないよ』
日輪『そんなこと言わないで。
力が強いということは、
それくらいお月様に愛されているということなのよ』
私は、歴代の第三児の中でも、力が強いほうだったらしい。
でも、それは幼い私への気休めについた嘘だろう。
私は、力の制御ができない自分が嫌いだった。
日輪『違うわ、【制御ができていない】わけじゃない。
思い出してごらん。
貴女の力は、とても素晴らしいものだったでしょう』
ふと、現実に戻された。
慌てて辺りを見渡すが、当然そこに姉様の姿は無い。
幻聴か……？
A「……私の、力は、」
私の力は……命を奪う…………？
いや、違う。
『制御ができない』わけじゃなかった。
私は……。
A「力を使いこなせなかったんだ」
そうだ、思い出した。
私の力は、【命を奪う】ものではない。
いつも生き物の命を奪ってしまうから、そう思い込んでいただけだ。
私の本当の力は……それは…………。
A「【命の与奪】だ」
与奪……それは、与えることも奪うこともできること。
私は、奪うだけではない。
頂いた命を違う生き物に与えることができる。
A「大地の恵みよ、お力をお貸し下さい」
私は右手を善逸君に触れ、左手を宙に浮かした。
すると、善逸君の体はほのかに光に包まれる。
嗚呼、姉様。
ありがとうございました。
その時、夜空の月がほのかに赤くなったことを私は知らなかった。
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百鬼 - 京子ちゃんが付いていくかと思ったぁァアアア!!更新頑張ってください (2023年1月18日 15時) (
レス) @page42 id: d82d2213ef (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - とても面白かったです！更新楽しみに待ってます！更新お願いします！！！ (2020年4月23日 16時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 面白いです！これからも頑張ってくださいね！ (2020年4月6日 18時) (レス) id: e0a13cc95c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - なんと…なんと…。 からの ドブみたいな臭いだ。は草 (2020年4月6日 18時) (レス) id: e0a13cc95c (このIDを非表示/違反報告)
シホニャン - 面白いです。この続き気になります (2019年11月20日 18時) (レス) id: 39a09b6cce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：渡邉 なちゅ。 | 作成日時：2019年8月21日 22時
