baseball short story

◎ ページ21

「もしもし……」
『A大丈夫やった？……って、泣いとる？』

そこから今あったことを全て話した
友哉は私に何度もごめんなって謝った

「友哉のせいじゃないよ」
『俺がちゃんとしとけばよかったな、ごめん』
「大丈夫だよ、聞いてくれてありがとね」

そう言って電話を切った

よし、ちゃんと全部話そう
そして謝ろう




コンコンッと部屋の扉をノックする
なに、と低い声
相当イライラしてるのがわかる

「入ってもいいですか…？」
「うん」

部屋に入ると栄斗さんは
床に座ったまま下を向いていた
私はその横に座り、全てを正直に話した

友哉といたのはプレゼントのためだったこと
友哉はただの友達で何もないこと

そして、私は栄斗さんが好きだということ

彼は黙って聞いているだけだった
もう許して貰えないのかなと思うと
堪えてきた涙が滲んできた

「ごめんなさい……っ」

何かがプツッと切れたように
我慢しようとしても涙が止まらない
迷惑かけるだけなのに……
もう部屋を出ようと思ったその時

「ごめん」

私は彼の匂いに包まれた

「ごめんな
俺の勘違いでA傷つけて本当にごめん」

彼は私を更に強く抱き締め、続けた

「俺は年下で甘えん坊やけどしっかりしてる
そんなAが好きなんや……
ひどいこといっぱい言って本当にごめん」

そう言われると涙はもう止まらない
すると彼は私の涙を指で拭って

「もう大丈夫や」

といつものように微笑んでくれた









(ごめんな)
(わたしもごめんなさい)
(でももう男と2人で出かけるなよ)

(嫉妬するから)

C#63 格好良いは俺だけ→←L#3 嫉妬させるな

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