幻想的な姿 ページ16
A達"月読"にとって、月光は一番の燃料源だ。
熱量的には太陽光の方がずっと効率良さそうな気もするが、本人がそー言うんだから深く考える必要はねーだろう。
庭に降り立ったAが目を閉じると、長ェ髪が重力に逆らうようにふわりと浮かび上がった。
同時に月の光を反射して、髪の一本一本がキラキラ輝き始める。
やっぱいつ見ても、こいつの
普段の充電は見回り中に浴びる太陽光で事足りるから、Aが月光で充電するとこを見るこたァそんなに多くねェ。
今日も充電は足りてるんだろうが、単に俺がこの光景を見たくて指示を出した。
この世のモノたァ思えねー程秀麗で煌びやかな、この光景を。
手元にある酒を飲むことすら忘れて、目の前に立つAの姿を目に焼き付ける。
決して忘れることのねーように、しっかりと。
どれだけの時間そうしてたのか。
充電が終わったらしく、浮かび上がってたAの髪は再び地球の重力に捕まった。
幻想的な光景も終わりを告げて、まるで花火が終わっちまった時みてーな物悲しい感覚に陥る。
夢から覚めて現実に引き戻されるのは、
「充電率100%、完了しました」
「…おぅ。これで当分問題ねーな」
「はい。例え明日ほぼ全壊並みの損傷を受けようと、即座に修復可能なレベルでエネルギーに満ち溢れています」
「また随分と物騒な例えだねィ」
ま、こいつがそんな状況に陥るなんざあり得ねーだろうけど。
「終わったんならこっち来て酌しろィ。まだまだ飲み足りねーぜ」
「総悟様、酔い潰れないように飲むという約束をお忘れなきよう」
「へーへー、わかってらァ」
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2019年12月2日 12時