29章 ページ31
ある日、いつも通りに私とマスターが公園で見回り(という名のサボり)をしていた時のこと。
「……!!」
「あぁ?どーした犬っころ、耳出てるし髪逆立ってんぞ」
風に乗って流れてきたツーンとしたにおいと獣臭。
これが意味することを理解した瞬間、私は半化けし臨戦態勢を取った。
ドスドスという何か大きなモノが走ってくる音が聞こえてきて、マスターもその意味に気付いたらしい。
面倒臭そうに溜め息を漏らす。
「…そーいうことかィ」
「フーッ……」
私が完全に威嚇モードになったところで、そいつは現れた。
「ゲッ……何でお前居るアルかクソサド」
「そりゃこっちの台詞でィ、クソチャイナ。てめーらが来た所為でうちの犬っころが警戒してんじゃねーか、とっとと失せな」
「ワン!」
そう、やって来たのはチャイナ服の女の子、神楽ちゃんとそれに連れられて来た定春だ。
万事屋で飼われている大きな犬で、こいつとは初めて会った時からどうしても馬が合わなかった。
「グルルル……」
「ワン、ワン!!」
「ほれ、落ち着け犬っころ。つーかこんなとこで化けんな!チャイナ、てめーもそっちの犬どーにかしやがれ、また収拾つかなくなんだろーが」
気付けば私は無意識的に狼化していたようで、マスターが宥めるべく私の横腹を叩いていた。
それが僅かに私の意識を平常に引き戻す。
「お前んとこの犬と違ってうちの定春はとってもお利口さんアル、勝手に暴れたりしないネ!ね、定春!」
「ワン!」
ガブリ。
「………オイ」
「あ」
返事と共に、定春は私の頭に噛み付いていて。
視界が赤く染まっていくと同時に、戻ってきたばかりの冷静さは私の思考から掻き消えた。
「……グルァアアアア!!」
「ワン、ワン!!」
「さ、定春メッ!!そんなの噛んだらお腹壊すヨ!!離すアル、定春!!」
「いやそーいう問題じゃねーだろィ。おめーも落ち着けA、暴れんな!」
いつの間にやら、私達は会う度にこうして喧嘩をするようになっていた。
それもこれも、奴が私を見る度こうして噛み付いて来るからいかんのだ。
私が悪いのではない、断じて。
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影咲 遥(プロフ) - 夜空 星月さん» 星月様、初めまして！コメントを頂きありがとうございます。多分シャボン玉よりもグダる可能性大ですが、頑張って更新していきますね！応援ありがとうございました。 (2018年1月27日 22時) (
レス) id: 6088c20e27 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 星月(プロフ) - 【シャボン玉に乗せた恋心】のときからファンです！こちらの作品も応援してます！頑張ってください！！ (2018年1月27日 22時) (レス) id: 5d15086cca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影咲 遥 | 作成日時：2018年1月27日 21時
