26章 ページ28
「ッ…!!?てめッ、何してやがんでィ!!」
何か凄い勢いで飛び退かれた。
それはもう、布団から飛び出して壁にぶつかるレベルで。
「何って…傷舐めたんだけど、何か問題ある?」
「いや問題しかねーだろ、普通人の傷舐めるか!?」
珍しくガッツリと狼狽えているマスター。
心なしかちょっと顔が赤い気がするのは、私の目の錯覚だろうか。
「割と普通にやってたけど?私らって傷は舐めて治すもんだったし」
「……そーいやてめー、獣だったな…動物は怪我したら舐めて治すっつーけど、マジだったのかィ」
「んー…まぁそれもあるんだけどさ。傷、触ってみ?」
何とも微妙そうな顔をしているマスターにそう言うと、どうやら気付いたらしい。
傷口を拭うようになぞった指には先ほどまで滲んでいた血が付いたが、その下にあった筈の傷は綺麗に無くなっている。
「…傷が、消えた…?」
「半化けもしくは完全に狼化してる時なら、翠狼族は回復力滅茶苦茶高まるからね。唾液にも傷の治り早める効果があって、軽い怪我程度ならこれで十分治っちゃうのよ。意味、理解した?」
私だって、誰の傷でも舐めて治すとかそんな趣味は無い。
曲がりなりにもマスターだし、ついでに言うなら私が屋根ぶん殴って飛んだ瓦礫で追った傷だ。
私が治すのは筋だと思ったから治した、それだけ。
「……なら、せめて説明してからにしやがれ。いきなりあんなんされたら誰だって驚くに決まってんだろィ」
「いや、マスターなら別に気にしないかなーって」
「てめーは俺を何だと思ってやがんだ」
「傍若無人で厚顔無恥で女弄ぶ悪逆非道な顔だけ男」
「ぶっ殺されてーか」
ホントのことだし割と的を射ていると思うのだけど…流石にお怒りみたいだし、本気で殺しにかかられたら面倒なのでここら辺でやめておくことにする。
肩を竦めて降参の合図として両手を上げると、思いっきり溜め息をつかれた。
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影咲 遥(プロフ) - 夜空 星月さん» 星月様、初めまして!コメントを頂きありがとうございます。多分シャボン玉よりもグダる可能性大ですが、頑張って更新していきますね!応援ありがとうございました。 (2018年1月27日 22時) (レス) id: 6088c20e27 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 星月(プロフ) - 【シャボン玉に乗せた恋心】のときからファンです!こちらの作品も応援してます!頑張ってください!! (2018年1月27日 22時) (レス) id: 5d15086cca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2018年1月27日 21時