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side.K
ネクタイを解きワイシャツのボタンを緩めたところで、もう疲労が限界だった。そのままベッドに横になり、ゆるやかに瞼を閉じる。
ここ何日も働き詰めだ。それもそうだ。あのキウンクエ蔵前の事件がついに世間に露呈し始め、それをどうにか騒ぎにせず進める捜査。忙しいのに全然進展しない、という上司の嘆きは笑えないくらい的を射ていた。
それに、榎本夫妻。
『お前にはまだ、利用価値があると思っている』
榎本正志の言葉が頭の奥で響いた。
榎本はまだ喋るつもりはない。しかし、あの収賄が明るみ出るのは時間の問題だ。隠し通すにしても、この事件を追っていれば確実に『榎本が隠そうとしていること』に繋がる。そうなってしまえば、榎本は口を割るだろう。だから、この事件を早いところ収束させなければならない。
「…………は、」
深く息をついた。
やらなければいけないことは山のようで、懸念すべきこともまた多くある。休まらない日々だ。
だからこそ、Aの存在は楽だと思った。
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美桜(プロフ) - 続きがとても楽しみです!^^* (2023年1月26日 11時) (レス) @page16 id: 3c71fa7893 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 12話に誤字がありました。「操作資料」ではなく、「捜査資料」です。 (2019年9月22日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:依香 | 作成日時:2019年9月15日 3時