プロローグ ページ1
ガヤガヤと騒がしい村
「おーい!こっちも頼む!」
「こっちが先だ!!」
「なんだと!!」
そしてさらに騒がしいのは村の広場だ
『待て、順番だ。落ち着け』
少しこもったようなアルトボイスがその場を制した
「Aさん!これもお願いします!」
騒ぎの中心となっている彼女と一匹は
村人からブリキでできた玩具を渡される
「うちの子のお気に入りなんですけど動かなくなっちまって」
『…これは、歯車が錆びて機能してないだけだな。新しいのに取り替えておこう、錆止めも塗っておく』
彼女は腰のポーチから工具を取り出して器用に分解し、修理を始める
『ベポ、そこのオイルと筆を取ってくれ』
囲まれている彼女とは別に、避けられている様に端にいて蹲っている生き物
いや、バケモノと言った方が正しいだろうか
灰色の肌、立ったら3メートルを超えるであろう巨体に頭の角、長い毛で覆われてよく見えないがその顔の裂けた口からは牙が生え、目が鋭く、とても醜い
「ワカッタ」
ベポと言われたバケモノが立つと、周りの村人が「ひいっ」と小さく悲鳴をあげる
『あまり怖がってやるな。ベポは見た目の割に優しい』
「オイル、ト筆…取ッテキタ」
『ありがとう』
そして修理の終わった玩具を持ち主に返す
『よし、一通りこの村の物は修理が終わったから私はもう行くよ』
村人に感謝されながらバケモノと村を出る彼女
彼女は神出鬼没の修理屋なのだ______
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作者名:政道 | 作成日時:2018年10月20日 21時