そして、家族へ

5.発覚 ページ8

ナースステーションに戻ると、そこには
待っていましたと言わんばかりの顔をした春樹が居た。

｢飯田さん、どうだ？｣
｢今のとこ、大丈夫そう。彼女の中で割と踏ん切りはついてるみたいだから｣

あとは出血気をつけまーす、と
春樹に向かって敬礼すると鼻で笑われた。

｢それより、顔青いけど大丈夫か？｣
｢え、ほんと？｣
｢嘘ついてどうする｣
｢さっき、立ちくらみ起こしちゃってさー。
倒れるかと思ったー｣
｢気をつけろよ、ただでさえ最近食べてないんだから｣

心配させるな、と照れ隠しかそっぽを向く春樹。

そう。最近なんだか食欲が湧かなくて、
食事は以前の量の半分も食べられなくなった。
まあ、私の中ではダイエットになるし一石二鳥って思っているけれど。

｢えー？Aちゃん、具合悪いの？｣
｢どれどれ｣

他の患者のお産が終わったようで、小松さんと鴻鳥先生が
帰ってきた。
どれどれ、とか言いながらちゃっかり私の額へ
手を当てる鴻鳥先生に春樹は睨みをきかせてくる。

｢いくらサクラでもそれはアウト｣
｢えー、四宮の意地悪〜｣
｢しのりんてほんっとAちゃんにベタ惚れだよねえ〜｣

ニヒヒと私ら2人を見て笑う鴻鳥先生＆小松さんコンビも
なかなかだと私は思ったけれど。

そんな2人をシッシッと手で払い除ける春樹を
私はボーッと見ているうちに再び、意識を飛ばした。

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